約 541,864 件
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3042.html
大掃除でアルバム見つけちゃうというド定番から始まる上琴物語 これは、美鈴さんが大掃除中に見つけた古いアルバムと、それを一人で見ている上条の呟きである。皆には写真自体は見せられないが、各写真にはそれぞれ美鈴さんがタイトルを付けているので参考にすると良いだろう。ちなみに、美鈴さんはこのアルバムを上条に渡して、年末年始に入用の品を買出しに行っているところである。1月(1):『初詣に行く美琴ちゃん(4歳)』「うぉ!?最初からなんて可愛い写真なんでせうかこれは!この年齢での晴れ着姿でもここまで可愛いなら 今の美琴たんが晴れ着を着たら…おっとっと、想像だけで上条さんはボーっとしてしまうところでしたよ」1月(2):『お雑煮の餅に苦戦する美琴ちゃん』「か、可愛ぇ…じゃなくて、どうしてお餅をきちんと小さめにしなかったんでせうか美鈴さん! でも伸びまくるお餅に苦戦する“お約束”でも美琴たんがやるとすごく可愛ぇなぁまったく」2月(1):『4つしか豆が無いので不満そうな美琴ちゃん』「あー、俺は記憶無ぇけど確かにおやつが年齢分ってのは不満だろうなー…にしても、 なんで美琴たんは、こんな膨れっ面していてもこんなに可愛いんでせうかねぇもう♪」2月(2):『コタツで丸くなる美琴ちゃん』「ぶw…前々から美琴たん仔猫っぽい可愛さがあると思ってましたけどこれはマジ俺の心直撃ですよ! でも、どっちかと言えばやっぱり現在の美琴たんが俺にくっ付いて丸くなってる時のが可愛ぇなぁ…」3月(1):『ひな人形を見てテンション上がる美琴ちゃん』「いやぁこういう乙女な美琴たんすごく可愛いですなぁ♪…ひな人形って十二単ってのを着ているけど、 美琴たんは純白のドレスとこういうのと、いったいどっちを着てみたいと思ってるんでせうかねぇ…」3月(2):『↑の後、甘酒飲んで寝ちゃった美琴ちゃん』「ぉいこら美鈴さんwww まさかソレ酒粕使って手作りした甘酒でせうか!?もしそうだとしたら微量ながら アルコールは含まれてしまいますよ!?…それにしても美琴たんの寝顔はこの頃も今もめっちゃ可愛いですなぁ…」4月(1):『エイプリルフールの嘘にひっかかって慌てる美琴ちゃん』「娘に何してんの美鈴さぁぁぁぁん!!! よくあの母親から外見性格とも可愛い美琴たんが育ったなぁ…」4月(2):『桜を見て喜ぶ美琴ちゃん』「あーもう可愛ぇ!!周りの桜よりも可愛い可愛い美琴たんに視線が集中していくぅぅぅぅぅう!!! タイトルを見た後でなければ何の場面の写真か忘れてしまうぐらい美琴たんばかり見てしまいますよ」 5月(1):『5月2日 誕生日プレゼント抱えて喜ぶ美琴ちゃん(5歳)』「この笑顔可愛い過ぎるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!頑張ってプレゼント用意した先にこの笑顔があったら 明日も明後日もその先もずっと幸せにしたくなりますよ!いや元々幸せにする気満々ですけども!!!」5月(2):『こどもの日 幼稚園の男児とチャンバラして勝っちゃう美琴ちゃん』「この頃から運動神経も良かったんですね美琴たん…まぁ喜んでる顔は可愛いから良いけど」6月(1):『雨の日 迎え(私)を待ってる美琴ちゃん』「いや隠れて写真を撮ってる暇があるなら一刻も早く駆けつけて下さいよ美鈴さん!!! 雨ですよ気温下がってるんですよ早く美琴たんを傘の下に入れましょうよ!!! あなたが傘を持って来るのを今か今かと待ってるんですよ!!!」6月(2):『父の日 パパの似顔絵をプレゼントする美琴ちゃん』「うわ本当にコレ5歳の絵でせうか?めっちゃ上手いんですけど!!旅掛さん嬉しかっただろうな… 可愛い娘が頑張って自分の似顔絵を書いてくれて、しかもこんなに優しい笑顔してる似顔絵だなんて」7月(1):『夏休みその1 海ではしゃぐ美琴ちゃん』「凄ぇ可愛ぇぇぇ!!!今年の夏プールに行ったときの美琴たんにもドキドキでしたけど こっちの美琴たんもすごく可愛くて、上条さんはすごくドキドキしまくりですよ!」7月(2):『夏休みその2 ラジオ体操の判子がゲコ太で喜ぶ美琴ちゃん』「この頃から既にゲコ太が大好きだったんですね美琴たん。海の時より笑顔が可愛いですなぁ…」8月(1):『夏休みその3 キャンプのバーベキューでルンルンな美琴ちゃん』「良いなぁ…こういう楽しいバーベキュー、すごく嬉しそうに美味しそうに食べてますなぁ美琴たん。 ちゃんと焼きピーマンもしっかり食べてるみたいで、昔も今も美琴たんはすごく良い娘ですなぁ♪」8月(2):『夏休みその4 私の怪談話を怖がって震える美琴ちゃん』「だから、自分の娘にどんな扱いしてるんですか美鈴さん!!!本当に母親なんでせうかあなたは!!!」9月(1):『私といっしょに月見団子を作る美琴ちゃん』「えらいなぁ美琴たん。この歳から既にしっかりお手伝い出来てるなんて。良い嫁なりそうな素質はこの時から既に…」9月(2):『↑の直後、私の摘み食いを発見し怒る美琴ちゃん(パパ撮影)』「いったいどっちが親なんでせうかこの母娘はwww こりゃ美琴たんがしっかり者に育ちますわなぁ…」 10月(1):『運動会の朝 張り切ってる美琴ちゃん』「あーもうこのテンションあがってる時の美琴たんの可愛さときたら! うっかり写真にキスしてしまいそうですよ! しかし運動会か…この嬉しそうな顔は当日の最後までしっかり続いたんでせうかねぇ…どれどれ(ページを捲る)」10月(2):『運動会 かけっこで1位になった美琴ちゃん』「うわぁぁぁぁ!むしろ更に笑顔になって帰ってきましたよ美琴たぁぁぁん!…はっ!つい写真に唇を////」(拭き拭き)11月(1):『読書の秋な美琴ちゃん』「え?え?え?絵本じゃない本をこの歳で読んでるだと!?この頃から既にこんなに賢い子だったんですか!すげぇな美琴たん!」11月(2):『勤労感謝の日で肩たたきをする美琴ちゃん』「すごくえらいなぁ美琴たん!美鈴さんもぜひ見習うべきですよ!摘み食いとか娘弄りとかする暇ないですよ!(笑)」12月(1):『クリスマス 枕元に靴下を置いて寝る美琴ちゃん』「あーもうなんて可愛いんですか美琴たんの寝顔は!甘酒酔いした美琴たんの寝顔も可愛かったですけど、 この酒の力じゃない穏やかな寝顔はまた格別ですなぁ…ついついプレゼント割増したくなっちゃいますよ♪」12月(2):『大掃除を手伝う美琴ちゃん(窓拭き)』「可愛いなぁ…こう、窓に息をふーって吹いて新聞紙で拭き取る、この仕草がなんとも可愛らしいですなぁ♪ いやぁそれにしても、ついついじっくりと眺めてし「あれ?当麻…ってちょっと!!」まいますよ…って、え?」「な、なんで当麻がこのアルバム見てるのよ!?いつの間に見つけたのよ!!////」「あぁ『大掃除してたら見つけちゃった。今、美琴ちゃん寝てるから起きるまでコレ見て待っててね♪』って美鈴さんが」「ったくあの母親ぁ~!どこ行ったのよ!いつも私が恥ずかしくなることばっかり」「まぁまぁ落ち着いて美琴たん」「これでどうやって落ち着けっていうのよ!どんな写真が収まってるか覚えてないけどこんな恥ずかしいこと―――「いや、むしろアルバム内の美琴たんすごく可愛らしくて、ますます美琴たん大好きになっちゃいましたよ」 ―――を放っておけるもんですか!…って、え!?と、当麻…それ、本当!?////」「そりゃ本当ですよ美琴たん」「……ねぇ、当麻」「…ん?なんでせうか?」「……来年も再来年も、その先もずっと、私のこと好きでいてね?」「もちろんだ。こちらこそずっとよろしくですよ、美琴たん♪」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/552.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/memories 日常の記憶 美琴と恋人となった上条だが、自分はどのように接すればいいのか、わからずにいた。 マンガをたくさん読む上条には、『知識』上から物語上での恋人のイメージは出来る。よくありそうなデレデレのバカップルや初々しくてまどろっこしいカップル、他にも色々なカップルをイメージできた。だが不幸なことに、自分と美琴をイメージできるぴったりなカップルがイメージが、思いつかなかった。 もしかしたら『記憶』の中ではイメージが出来たのかもしれないが、もはやそれは失われた遺産。『知識』でわからないということは。今の自分にはイメージできないということだ。 だがこの境遇を考えると、自分でもすんなりと納得できる。記憶を失った自分と記憶を失う前からずっと好きだった少女。一流の作家に書かせたら、いい話になるのかもしれないほどありえない状況だ。こんな状況下に立たされてしまった少年である自分は、少女役の美琴にどう接すればいいか。簡単には答えを出てくれなかった 「ちょろっと、さっきからどうしたの?」 「ちょっと考え事だよ。上条さんは記憶を失ってから色々とありますからね」 彼女の美琴には、特に変わった変化はないように思えた。昨日と同じ口の聞き方に、電撃ばかり浴びせてくる短気な性格は、上条を意識してるのか、見た感じでは判断できない。 些細な変化はあるように思えるが、上条は恋人以前の美琴を知らない。それが悪い影響を示し、美琴はどう考えているのか読めずにいた。 (自分から言っときながら変化なし。もしかしたらこいつ、俺を使って遊んでるのか?) 態度を考えると、十分にありえそうな可能性だ。実はあの告白も、姫の遊びの一つなのかもしれないと上条は思えなくもない。美琴がどんな人物かしらないからこそ、考えられることだ。 しかし、それは美琴が恥ずかしがっている、素直ではないからだと上条は知る由もない。だが、記憶がない上条には美琴が一歩を踏み出せない理由がわからず、疑心暗鬼になっていた。 (でもそういったやつじゃないって言うのは、昨日見ただけだとわかるんだけどなー。……ん?昨日?) そこで思い出したのは、深夜の出来事。昨日、自分が思い悩んでいることを、明かして頼んだこと。正確な時間は今日なのだが、深夜の出来事だったので、時間については少し曖昧だった。 (そうだよ。上条さんがわからないんなら、教えてもらえばいいんじゃねえか。なんで忘れてたんだ?) 上条は、御坂と声をかけた。何? と顔を上げたのを見計らって上条は言った。 「御坂と恋人になったのはいいけどさ。恋人らしくなるのには、どうすればいいんだ?」 その言葉を言った瞬間、周りの世界は凍りついた。 「…………………………………」 「………えっと………あれぇ?」 上条以外の人間はいっせいに静まり、上条を真剣に見ていた。いや、睨みつけていた。 だいぶ遅くなったが、ここは某大型のファーストフード店。コンビニに行ったのはいいが、あまり言い商品がなかったので健康には悪かったが最寄のファーストフード店に寄ったのだ。 安くてお手軽。味は高級品と比べればうまいとは言いがたいが、まずくはなく腹にも溜まる。上条としてはそれなりにいい場所だった。 だが上条はこのファーストフード店に存在する、ある落とし穴を知らなかった。 一つ目は、このファーストフード店は学生に愛されており、春休みの朝でもよく人が来ていたこと。 二つ目は、ここにいる学生は様々な学校の生徒であったこと。 そして、もう一つは…。 「おい。あれって『超電磁砲』の御坂美琴じゃねぇか?」 「しかも隣のやつって噂の『無能力者』じゃねぇのか?」 「え、マジ? それじゃあ、あそこに座ってるのって有名人の二人ってことか?」 「あ、知ってる知ってる。先月学園都市のために戦った有名人(ヒーロー)でしょ? テレビで見た」 「そうそう。風紀委員でもないのに、大規模な事件に介入して、敵を倒しちゃったって言う」 学園都市では『上条当麻』と『御坂美琴』は有名人となっていたことだ。 「えっと……? これはなんでせうか、御坂さん?」 「そうだ。すっかり、忘れてた」 美琴は重大なミスをしていたことに気づいたが、それからもう後の祭り。 「それよりも聞いたか? あの二人、恋人なんだってさ」 「うんうん。やっぱり、あの二人、出来てたんだ」 「でも運がいいよね。まさか恋人同士の二人に出会えるなんて、俺って今日はラッキー?」 「そうだ! このことを友達に自慢しちゃおう。いい自慢話になるだろうなー」 上条はこの状況はとてもやばいと感じた。というよりももう手遅れだろうと気づいた。 「お、おい。なんだか不幸な予感ですが……って、御坂?」 「あ………あはは。あはははは」 「あのー、御坂さん。いかがしたのですか?」 「あははははーッ。失礼しましたーーー!!!!」 美琴は耐え切れず、上条を引っ張って店を出た。もっとも、美琴が否定しないで逃げたということは確定情報だ、と解釈した学生がほとんどであったということを、美琴は知る由もなかった。 美琴が走ること、一時間。 以前にも似たような展開があったことを知るはずもない上条は、なんでそんなに体力が持つんだと思っていた。その一方で美琴は、近くにあったベンチに座り知恵熱を出していた。 「…とりあえず、どうしたんだよお前」 「あは…あはは…あの時よりも酷いわ。不幸だー」 「それはこっちのセリフだ。なんで俺も一時間、走られっぱなしにならなくちゃいけないんだよ!」 「あーもう!わかった、わかったから!だから少しだけ気持ちの整理をさせてー!」 やってしまったと後悔している美琴を、上条は不思議そうに見ていたが、触れてはいけない気がしたので触れないことにした。 「とりあえず、そこの自販機でなんか買うか。何がいい?」 と上条はある自販機を指した。指された自販機を見て、美琴はここかと思い出し、勝手に自販機に向かって行く。上条はよくわからず、おいと声をかけたが無視されたので、後を追っていく。 「なんだ? 自分で買うのか?」 「……ま、ちょろっと見てなさいって」 その場でぴょんぴょんと跳ねて、身体の安定感を確かめた。何度かしているが、一応安定感のある方がいいのは、美琴なりのこだわりだ。 「技名は省略っと…せぇーの」 上条は、嫌な予感がした。不幸センサーではなく、単純にこれから起こることは見てはいけないような気がした。 「お前……まさか…ッ!」 ちぇいさーっ!と叫びながら、自販機の横を思いっきり蹴っ飛ばした。それって器物損害にあたるかもしれねえ犯罪じゃんかよと思ったが、今更と思ったので言わないでおいた。そして、蹴った本人は何事もなかったかのように、取り出し口からジュースを取り出した。 「『いちごおでん』………はぁー、ついてないわね」 目的のものではなかったのだが、もったいないので飲むことにした。そしてその隣にいる上条は、共犯者であることを感じて。 「あっ!こらー、逃げんな!!」 (無実だ、俺は無実だぞ!) 共犯者容疑をかけられそうだったので、自分は無実と言い聞かせながら自販機と美琴から逃げた。 とりあえず走ること五分。 上条と美琴は先ほどとは違う別のベンチに座っていた。あの場から逃げ出して、離れたかった上条からすれば、ここにベンチがあるのは十分だと思うのだが、隣に共犯者がいるのには目を瞑りたい気分だった。 「御坂さん。あなたは自販機は蹴るものだと、勘違いしてないでせうか?」 「それぐらいわかりますー! ただあの自販機はおんぼろだから、ああしない出てこないのよ。もっとも、それを知らずに二千円が飲み込まれた、って騒いでたやつがいたけど」 「……………………不幸だ」 ニヤニヤしながら見つめる美琴の視線で、それが誰だが十二分にわかった。だが、もしお金を入れていたらどんなことになっていたかなど、想像するだけで不幸な気分になれた。そして、それをすでにやってしまっている自分がいたことがさらに不幸だった。 「んで、さっきは何の話だっけ?」 不幸なオーラを察し、美琴は話の話題をかえたほうがいいと判断しさきほどの話題に戻す。ああ、と上条は思い出し、ファーストフードでの質問をもう一度繰り返した。 「恋人らしくなるのには、どうすればいいんだって話。そのあたりがどうにもわからねぇんだよ」 「あ、うん。…恋人、ね」 美琴は赤くなりながら、俯いた。上条が自分にほとんど恋愛感情を持っていないことはわかっているが、いざ言われてみると嬉恥ずかしい。一方的な気持ちであっても、好きな人に『恋人』といわれることが嬉しいと表情に出てしまうあたり、彼女としては大変嬉しいのであった。 それに気づかない上条は、よくわからなそうな表情をしている。このあたりが鈍感であるゆえに、女の子からの好意に気づくことが出来ない要因のひとつなのかもしれない。 「??? どうしたんだ、赤くなって?」 「な、なんでも…ない。それよりも……その、話なんだけど」 この質問の答えは、美琴の中ではもう出ている。頼まれていた時点で、実はすでにいくつかの答えは出ていて、それを実行しようかと朝に考えていたのだが、朝の結果はあのザマだった。 そうなると、別の機会でと考えていたが、意外にも上条から話を振ってくれたことなので、この場で実行することが出来る。のだが……。 「………………」 言うのが恥ずかしかった。 実はこの答えは、恋人でなくとも友人の間でも普通のことだった。さりげない会話の中でも言えるし、美琴も友人たちの初春や佐天にもこれと似たようなことを言った。しかし、美琴は上条にそれすら言うのも恥ずかしい。 というのは、これを実行したら本格的に恋人に近づける気がしたからだ。そして、男友達が上条だけであった美琴からすれば、初めての経験だったから余計に言いにくかったのだ。 「??? 御坂さーん。おーい」 そんなことも知らない上条は、反応のない美琴の心理状況など理解できていない。だが上条は、美琴とは別の意味で困惑していた。 (あれ…? そんなに難しいことだったのか?) 頼んでいたことであったし、いくつか考えていると思ったのだが少し早すぎたか、と後悔していた。一応、美琴の言うような恋人になれば、仲が深まるだろうと考えたのだが、早急すぎたと焦っていた。 「わかんねぇなら、わかんねぇでも」 「そそそそうじゃないのよ!その………あるん……だけど…」 自身なさそうな声と赤く染まった頬。そして、うるうるとした眼。上条は典型的な弱気な女の子の表情に萌えてしまった。 (うぅっ!これは……わかるぞ!こ、これは……そう!御坂の陰謀だ!そうだ、そうに決まっている!上条さんがこんな子……って、もう俺たちは恋人なのに何を言っているんだ!?) 「そのね………言って、いい」 「ハイオネガイシマス」 そして、恐る恐る上条を見る美琴の視線は、王道の上目遣い。やはり上条は萌えた。 (やばい!色々な意味でやばいです!上条さん、御坂さんの上目遣いに萌えてます!いやいや、最近の『知識』では蕩れという言葉があるということを覚えているのだが……ああ!そういうことではなくてだな!!) 美琴にドキッとしてしまった上条の脳内はパニック状態。 (御坂は十分すぎるというよりも、百点の試験で百点以上の点数を上げたいほどのオーバーな子だと思いますけど、その子が何故、わたくしの前でこんなキャラをしておるのでしょうか? 果たしてこれは幸なのか不幸なのか微妙なラインだと、上条さんは困惑を隠せないわけですが、) 「あ………うぅぅ」 (やめて! その表情で視線を逸らさないでー! 上条さんの色々なものがデンジャーですぅー!!) 色々な意味で葛藤している二人は、精一杯に何かに耐えている。進まない話と大きくなっていく感情は、ある意味二人には拷問に近かった。 「い、言うわよ!美琴さんは言うわよ!!いいわね」 「はいおねがいしますはやくいてくださいおっしゃってください」 そして、当たって砕けろとやけくそになった美琴は、土下座をして頼んだ上条に大きな声で叫んだ。 「名前で呼び合いましょう!!!!」 美琴が言ったのは名前で呼び合うこと。ずっとずっと"アンタ"と呼び続けるのは、恋人でも友人らしくないと思っていた。美琴の中でも名前で呼び合うことは、上条とはもう少し親密になるきっかけだったのだ。だが、素直になれない恥ずかしがり屋の美琴からしてみれば、このお願いをすることも恥ずかしい分類に入る。友人にはいえても、男性友達だった上条には言おうにも言えない、ある種の壁であった。美琴は今それを壊すことが、自分への一歩だと考えていた。 しかし、本心ではこれは一番恥ずかしくない分類の願い。このほかにもあるのだが、美琴にはこれを言うのが今の限界であった。 一方の上条は別にその程度と、思った。名前だってさっきも言ってみたし、簡単なことじゃねぇかと思ったのだが…。 「…………………………………………」 「……………………ねえ?」 「…………なんですか?」 「…………………名前」 言えない。恥ずかしすぎて言えない。穴があったらさらに掘って入りたいほど恥ずかしかった。 「……………………………」 「……………………言えないの」 「あ……いや………………その……だな」 「………………うん」 「………………………み……………こ、と」 囁くようにボソリといった。これが今の上条の限界だった。 「…………………………とぅま」 美琴も釣られて上条の名前を言ったが。上条よりも小さくほとんど聞こえない。それでも上条の耳には届いた。 「…………………」 「…………………」 しばし無言になる二人。一体この雰囲気をどうすればいいのかわからず、視線を彷徨わせた。 真っ赤になった顔は、生まれて初めての最高値に達しているのかもしれないと、美琴はふと思った。それほどまでに、恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。 それは美琴への恋愛感情がまだない上条も、同じ境遇だった。だが上条は…この雰囲気はをどうにかしたいと思ってはいるが、嫌ではなかった。それが指すのは、美琴への恋愛感情なのかそれとも別の何かなのかは、まだ上条にはわからなかったが、少しだけ答えに近づけたような気がした。 「………………………………悪い。恥ずかしすぎる」 「……………うん。私も」 「……………悪い。ちょっと無理」 「…………私も…無理っぽい」 両方とも名前で言うのは難しいようだ。だが、それでも上条からしてみればせっかくの提案を無碍には出来ない。なので、努力はしようと思っていった。 「…………あの、さ」 「…………何?」 「…………………努力はする」 「……………………うん」 そして二人は、しばらく黙り込んだ。恥ずかしいことではあったが、少しだけ恋人に近づけたかもと上条も美琴も思いながら…。 それからしばらくして、上条と美琴は病院へ向かうこととなった。 一ヶ月も寝ていた人間であるし記憶のこともあるので検査するようにと、カエル顔の医師からの連絡を受けた上条はちょうど行く場所もすることもなかったので、医師の言葉にに従い、また病院に向かっていた。 退院してまたすぐに検査のために病院に戻るというのは、複雑な気持ちだった。一ヶ月も寝ていたため、病院での生活は数時間しか覚えていないが、病院と言うもの事態には好印象を持ち得ないのが、一般的な高校生だ。というよりも、病院が好きといえる人間は、そう頻繁にはいないだろう。 上条は、病院への道をまた歩くことにため息を隠せなかった。隣にいた美琴もなんとなくだが、その気持ちは理解できた。 「少なくとも、記憶がなくなる以前の上条さんは、病院嫌いの上条さんでいたいものです」 「毎週のように入院はしてたけど、好きだとは言ってなかったわよ? もっとも、第二の住まいとかしてたから本心はどうなのかは聞いたことないけど」 「第二の住まい……何故か知りたくない過去の一つである気がする」 「でもアンタのあの病室。アンタしか入院しているとこ、見たことはないわ」 「上条さん、特別の個室ですか。不幸だ」 何故、そんなに入院したのかはいずれ知ることになるであろうと思い聞かなかったが、それでも少しだけ興味を隠せなかった。自分が想像する『上条当麻』とは不幸体質の無能力者であるが、不幸不幸と言っても毎回の不幸で入院するのだろうか? そして、さきほどのファーストフードでの会話。『先月学園都市のために戦った有名人(ヒーロー)』といわれた事を思い出すと、不幸だけで入院したとは思えなかった。 だが、全てを知っているかもしれない美琴が知っていること全てを話してくれるとは、どうしても思えなかった。話してくれるなら、会ったその時に全て話してくれるかもしれないし、約束をしてくれたはず。でも美琴は一言『ごめん』と言ったきりだ。 (俺って……なんなんだ? 何が起きたんだ?) 記憶を失った時、何故失ったかを教えてもらえなかったこともおかしい話だ。脳細胞が破壊されたことを知りながらも、原因は教えてくれなかった。それは、医師としての当然の処置なのかと思ったが、すぐに否と思った。 (なんでそんな詳細なことを教えておきながら、原因を教えなかったんだ?) 患者を気遣ってなのかどうかは知らないが、あの医師と自分とでは信頼関係のようなものは存在したと、昨日の出来事で上条は気づいている。だったら、教えてくれてもと思った時に、ある推測を立てた。 (まさか……あの医師は記憶を破壊された詳細を知らない?) 考えられる結論はそれだ。医師の都合であろうとも、何かしらのことは言ってくれるはずだ。だというのに教えないということは"知らない"。 だったら誰が知っているかと、考えてすぐに思い浮かべたのは、御坂美琴。 (知ってるのか? でも俺には教えたくないのか?) 美琴が何を考えているのか、上条にはまったくわからない。知っているとしたら教えてくれてもいいはずなのに、教えてくれないということは、何かしらの理由がある。だが言ったところで、美琴は何も教えてくれないだろう。 (なぁ美琴……お前は俺の何を知ってるんだ? 記憶と美琴は何か関係あるのか?) 心の中で問いかけても、美琴は何も教えてくれない。それでも、上条は聞かずにいられなかった。 「どうしたの、そんなに人の顔ばかり見て?」 上条はいやと、視線をそらすと、変なのと美琴も視線を歩いていた方向に戻した。それを見て、上条はもう一度美琴を見た。 時折うれしそうに微笑んだり、恥ずかしそうに赤くなったりと忙しい表情の変化は、上条には美琴の深いものを読むことが出来ない。なんでそんな表情をするのか疑問に思えたが、上条は言葉を飲み込んだ。 「あ、ついでに病院に知り合いがいるからさ。紹介しようと思うんだけど、いい?」 「それって、上条さんの知り合いか何かですか?」 「知り合いも、何もアンタが命を救った人物の一人よ。そして、昨日話した家族の一人」 「ああ。昨日の大切な家族のことか」 「検査って言ってもそのあと暇でしょ? せっかくの機会だし会わせちゃうわ」 上条が相槌を打つと美琴は検査の間、その子と相談すると言った。何かあるのだろうと思ったが、記憶に近づけるし、自分の知り合いだと美琴の口ぶりで思ったので、断る理由はなかった。 「きっと驚くわよ? なんていたって、私の妹達なんだから」 「………妹達?」 果たして『上条当麻』は何をしたのか…昨日の話が余計に気になる発言であった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/memories
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2129.html
(無題) 19-693 の尋問編です。 「ところで、御坂さん――この間の『デート』の話なんですけど」佐天がそう話を切り出した瞬間に、美琴は飲みかけのジュースを詰まらせたかのように目を見開いた。「けほっ……佐天さん、こ、この間のって――」美琴とて『クリスマスイブ・デート』を目撃されてしまった以上、こうして今日呼び出された目的は理解しているつもりだった。恐らく佐天、初春の両名は御坂美琴を尋問するつもりなのだ。『クリスマスイブ・デート』に至った経緯から、道中、そして結果までを。『クリスマスイブ・デート』という単語を頭に浮かべるだけで、心臓の鼓動が速くなるのを美琴は感じていた。「またまたぁ、御坂さんってば……"上条"さんとの"クリスマスイブ・デート"の事ですよ」一ワード、一ワードが美琴の心に刺さるようで、思わず美琴は佐天から目を逸らす。その仕草が余程面白いのか――佐天は口の端を吊りあげながら、更なる追撃と言わんばかりに身を乗り出した。「クリスマスイブに、年上の彼氏とデートなんて――御坂さん、一体どうやって上条さんを捕まえたんですか?!」「捕まえた訳じゃ――って、ちがっ……アイツとはまだ別にそんな関係じゃ……!」美琴が反射的に口を返すものの、佐天はしてやったり、といった顔を崩さない。「なるほどなるほど、御坂さんは『まだ』上条さんと付き合ってる訳じゃないんですね」うっ、と出掛かった反論を呑み込む美琴。これで『美琴が上条との関係を進める為にデートに誘った』という新たな事実のベールが剥がされてしまう。こんな子供じみた手に引っかかるなんて――美琴は自らの狼狽ぶりを隠そうともせずに、手元のジュースを一気に喉へと流し込む。「でも……ちょっと意外でした。御坂さんの彼氏さんって言う位だからどんな人かなって思ったんですけど……」初春の言葉に、美琴は『だから別にかっ、彼氏って訳じゃ……』と真っ赤な反論を試みている。その様子に佐天がニヤついた表情を崩さないまま、初春へと視線を向けた。「んー、確かに。ちょっと話しただけだけど、意外に普通の人、というか」佐天の見立てでは、美琴は『自分を一人の女の子として見てくれる人』に弱い。この基準で考えるならば、特段、相手が特別な相手である必要は無いのだが……何分名門常盤台中学に通う超能力者、御坂美琴が惚れこむ相手である。パッとしない、普通の高校生――これが佐天や初春が上条に抱いた素直な第一印象であった。「確かにアイツは一見パッとしないっていうか、覇気が無いっていうか……あの日も結局遅れて来たし」やや不機嫌そうな口調で上条を評する美琴。「ええっ、上条さん、折角のクリスマスイブ・デートに遅れて来たんですか?!」信じられない――と言わんばかりにオーバーなリアクションを取る佐天。佐天や初春からすれば上条が遅れて来たのは既知の事実なのではあるが、あの日、偶然ファンシーショップに入る美琴を見たという設定上、このリアクションは避けられない。 「でもまぁ、それには『迷子の子を助けてた』っていうちゃんとした理由があったから、別にいいのよ。 ただアイツは何時も何時も、トラブルと見れば誰かれ構わず首を突っ込まずには居られないっていうか……」ヤキモチを妬いた子供のような表情で、美琴は飲み干したグラスの淵を指でなぞりはじめる。「上条さんって、優しい方なんですね……」感心したような口調で初春が微かに微笑む。だが佐天は何かを考えたように、手を顎へと沿わせながら唸り声をあげていた。「うーん、確かに優しいですけど……御坂さんとしては、その優しさをもう少し自分に向けて欲しいと」「へっ、いやそのっ?!」心を読まれたのかと思うほど的確な分析に、美琴が思わず素っ頓狂な声を上げる。『まぁそれは置いておいて……』と、逸れかけた話題を元に戻そうと、佐天が間髪入れずに話を続けた。「それでファンシーショップから出た後は、どうしたんですか?」「あう……」佐天や初春が店から出た後、一部始終を見ていたレジの店員さんに散々茶化された記憶が蘇って――美琴は思わず頭を振った。この追求から逃れるためにも、なるべく淡々と事実を述べよう――と、美琴は知らず腹へと力を入れた。「ファンシーショップを出た後は……普通に、その辺りでお茶して……」とはいうものの、やはり何処か言い逃れるような口調に成ってしまう美琴を、佐天は相変わらず楽しそうな表情で眺めている。初春はやや呆れたような顔のまま、注文済みのパフェを一口手元へと運ぶ。「なるほどなるほど、あの噂のカップル飲みを見せつけるようにじっくりと――」「違うわよ! 普通、普通にちょっと休憩して、それからイルミネーションを見に行っただけよ!」ワザとらしく煽りに入る佐天に対し、良いように口を割らされている美琴。佐天の話術が凄いのか、それとも美琴が単に煽りに任せて喋っているだけなのか――初春には判断が付かないまま、パフェを口元へと運んでいく。「手を繋いで?」「手はっ……その、はぐれるからって……アイツが勝手に」美琴の顔が既に傍目から見ても分かるほどに真っ赤に染まっているのに対し、佐天は頬を軽く染めたまま、楽しそうな表情を浮かべている。無能力者が超能力者を追い詰めている、という稀有な光景。『いいなあ、いいなあ』と笑みを崩さない佐天と、反論とも取れる唸り声をあげる美琴。成るほどどうして、佐天から見ても上条と美琴の関係はそれなりに前に進んでいるようだ。「手を繋いでイルミネーションを見ながら、二人だけの時間を過ごした――うーん、御坂さん、かなーり羨ましいです」「うう……」佐天が真顔で率直過ぎる感想をぶつけると、美琴はそれだけで更に顔を赤らめていく。口に出して言われた事で余計に意識してしまったのだろう、既に耳の先まで色が変わっている。 「それで、たっぷり二人の時間を過ごした後は――まさか、あの公園で……」あの公園、という引っかかる物言いに、顔を赤く染めた美琴が慌てたように口を開こうとする。だがその反応が既に『その公園に行った』という事実を明確に示していていて。「ほ、ホントに行ったんですか……『カップル御用達』という噂の……」流石の佐天も頬を赤くし、照れたように頬を掻く。学園都市でも有名なカップル御用達の公園――ベンチに座る大勢のカップルがその雰囲気の中で口づけや、更なるその先へ踏み込むと言われるいわく付きの場所だ。「みっ、御坂さん?!」これまで口を挟まなかった初春も、これには思わず声を上げてしまう。「ちがっ、違うわよ!確かに公園には行ったけど、そんな、そんな場所だとは知らなくって……! 凄い変な雰囲気に成っちゃって、大変だったんだから!」だが、そんな美琴の反論は、佐天と初春にとっては単なる燃料に過ぎなかった。佐天は『変な雰囲気って……御坂さん、大人の階段を上って……』などと照れたように頬を赤らめているし、初春に至っては『きっ、キス以上の……アレとかコレとか……』などと暴走気味である。「……所で、お姉様までご一緒になって、一体何をそんなに御騒ぎになっていらっしゃるんですの?」そんな収拾のつかない事態を収めたのは、呆れたような表情を浮かべた一人の少女だった。 「げっ、白井さん!」佐天の物言いに、白井の頬が引き攣る。だがどうやら美琴を追求していたことに関しては、白井の耳に届いては居ないようだと、内心で佐天は安堵する。横の初春も同様なようで『はぁ』と小さな溜息を吐いている。「佐天さん、また随分な言い草ですこと……。 全くもう、初春もお姉様も電話にも出ませんし……何かあったのかと慌てて来てみれば……」「うう……黒子ぉ……」顔を赤くして涙目の美琴が、傍らに腰掛けた白井へと向き直る。何時もと異なる様子の美琴に、白井も『お、お姉様?!』と混乱を隠せない。「お姉様! 黒子はここに居りましてよ……! ちょっと初春、一体お姉様に何が?!」今しがたファミレスへと足を踏み入れた白井には、先程まで、美琴が佐天にやりこめられていた事など分かりはしない。ましてや白井に対して『御坂美琴がクリスマスイブにデート』をしていた事は、恐らく、美琴ですら秘密にしている事だろう。困ったような笑みを浮かべる初春の目線の先にあるのは、残念そうな顔でグラスを傾ける佐天の姿。「……佐天さん、お姉様に一体何を?」流石風紀委員でコンビを組んでいるだけの事はあるのか、初春の視線の意図に気付いた白井が追求を飛ばしてくる。だが佐天は何食わぬ顔で『ちょっと御坂さんのクリスマスイブについて……』と、さりげない爆弾を落としていった。「……お姉様?」三者が押し黙る中、美琴だけが慌てたように『ちがっ、違うのよ黒子、これは……』と、浮気相手への弁解のように捲し立てる。「ふふふ……そうですか、やっと合点が行きましたわ。 あんの腐れ類人猿めぇっ……わたくしのお姉様によくも、よくもっ………!」ああ、これは宥めるのに時間がかかるなぁ――と、初春が席を立ち上がり、白井を抑えに入る。「……余りに御坂さんが羨ましかったから、つい」そんな初春の気持ちを知ってか知らずか、佐天は再度グラスを傾けながら、小さな声でそう呟いた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1647.html
笑顔を求めて 今日は3月12日、すでに中学を卒業した御坂美琴は有名新学校に受験にきていた美琴の恋人となった上条は高校2年生、4月からは無事3年になれそうだ。この高校は超が何個もつくほどの難関高校だが美琴にとって受かることはたやすい。だが自分の席につきテストの開始を待つ美琴はなんともいえない表情をしている。原因は簡単なこと。本当は上条と同じ高校に行きたかったのだしかし学校や親からはもちろん、上条にまで反対されてしまった。それでしかたなくこの高校を受験することにしたのだ。しかたなく受けるレベルの高校ではないのだが…(なんでよ…当麻のばか…)上条と同じ高校に入ってもたった1年しか一緒にはいられないそれでも、1年だけでもいいから上条と一緒に学校生活を送りたかった。その理由を上条に告げてもかたくなに断られたのだから不機嫌になるのは当たり前だ。だが美琴の機嫌が悪いのは受験のことだけではない。それは最近上条の様子がおかしいのだ。明らかに何かを隠している。受験だから、という理由でなかなか会ってくれないし、上条の寮に行こうとしても断られることも多かった。また2週間ほど前、上条の寮へ行った時に上条の携帯に電話がかかってきた。なにやらとても嬉しそうに話していたので美琴は電話が終わったあとに誰からの電話か尋ねた。上条は「学校の友達だ」と言っていたがそのときの嬉しそうな表情が何かひっかかった。1時間目のテストが始まったあともいろいろ思い悩んでいたが問題は完璧に解いていく。50分間のテストだったが20分も余った。流石は名門常盤台生だ。(もうあとは適当にやろうかな……)1時間目が終わったあと美琴はそんなことを考えていた。残りの教科でわざと低い点をとれば落ちることは確実だ。落ちれば上条の通う高校に行けるかもしれない。そんな考えが美琴の頭をよぎったときマナーモードにしてあった携帯が震えた。そこに表示されていた名前は上条。(当麻から!?)超電磁砲もビックリのスピードで携帯を開けメールを見る。メールを見た美琴の表情は先ほどと打って変わって穏やかになった。『そろそろ1時間目が終わったところか?美琴なら絶対に受かる。ガンバれよ!!』たったこれだけのメールだったが美琴には十分だった。先ほどまでの不安やわざと落ちようなどという考えはすっかり消えていた。(そうだよね…当麻は私のことを考えて反対してくれたんだもん…頑張らなきゃ!!)こうして残りの教科はリラックスして受けることができた。休み時間ごとに送られてくる上条からのメールはより一層美琴を元気づけたのだ。「あ~疲れた!でも当麻のおかげで頑張れたわね…そうだ何かお礼しなきゃ!」そう思いついたのは4時間目の休み時間。美琴は早速上条に『受験終わったあと会えない?』、とメールする。上条に話したいこともたくさんあるしとりあえず会おうと考えたわけである。その後の5時間目のテストも難なく解答し、美琴は受験を終えた。現在は16時を回っておりあたりも薄暗くなり始めている。「よし完璧!これで受からないはずがないわ。さて、当麻からのメールは…あれ?」なんて返信がきているだろうと思い携帯を見てみるがこの1時間の間に受信したメールは黒子22通、美鈴1通だけで肝心の上条からのメールはなかった。いつもならすぐに返事をくれるはずだが1時間以上も時間が経っているのになんの返事もないことに不思議に思いとりあえず電話をかける。しかし電話にも全くでないので美琴は徐々に不安になってきた。もしかしてまた何か事件に巻き込まれたのではないか。そう考えた美琴は急いでバスに乗り込み上条の寮へむかった。寮にいるとは限らないが何もしないわけにはいかないのでとりあえず行ってみようと考えたわけだ。「当麻…無事でいてよね……」上条の寮の最寄り駅で降り、そこから猛スピードで走ろうとしたとき美琴の携帯が鳴った。この音は上条からのメール、急いで携帯を開けメールを見る。『悪い気づかなかった!なんだか電話が通じないからメールで済ます。 俺も会いたいから5時にいつもの公園に来てくれ。大事な話がある。』それを読んだ美琴は事件ではなかったと安心し胸をなでおろした。「あ~よかったなんともなくて。それにしても大事な話ってなんだろな…。」公園に着くまでの間は“大事な話”について考えながら歩いていく。、バス停から公園までは近かったのですぐに到着した。まだ5時にはなっておらず見渡す限り上条の姿も確認できない。「なんだ…まだ来てないのか…」残念そうにつぶやくと側にある電灯にもたれる。そして“大事な話”について再び考え始める。これだけ心配させておいて課題が終わらないので手伝ってくださいとか言いだしたら無意識のうちに超電磁砲を打ってしまいそうだ。(いったいなんの話なのかしらね……まさかプロポーズとか!?…ないない!…でももしそうだったら…)などとありったけ幸福なことを妄想し顔を赤くする。そんなことを考えドキドキしながら待っていると待ち人の姿が見えた。向こうはまだ気づいてないらしくキョロキョロと辺りを見渡している。「ま、この位置じゃ見えないか。さて、と!大事な話とやらを聞かせてもらお―――」そこまで言って言葉が途切れ、上条がいる方向へ歩き出したはずの足も止まる。なぜならば上条の隣には見知らぬ女性がいたからだ。別にただいるだけなら何も問題はないのだがやけに親しそうだ。それに何を話しているかはわからないが楽しそうに会話をしている。(あ、あんなのただの知り合いに決まってるじゃない!早く当麻の見えるところへ行かないと…)そう頭では考えられるが最近の上条の行動に対する不安感からか体は上条の方向へ動いてくれない。しかたがないのでとりあえず物陰に隠れ、2人がこっちへ来るのを待つことにした。上条は辺りを見回しながら美琴が隠れている場所のすぐ側までやってきた。(とりあえず2人の会話を聞こう!それから出て行っても遅くはないし…。)そういうわけで美琴は2人の会話を聞くことにした。だが盗聴系の能力者でもなくそういった機械ももちろん美琴は持ち合わせていないわけで会話はところどころしか聞こえない。(う~ん…うまく聞こえないな…私がいないみたいなことを話してるみたいなんだけど…)それでも聞き続けると話題が変わりいくつかの単語が聞こえた。その単語というのが、別れる、飽きた、めんどくさい、などといったものだった。(うそ―――)それを聞いた美琴は絶句する。(うそ、うそ、うそ、よね、当麻…そんなわけ…)「まあアイツも高校生になったし調度いいかと思いましてね。」上条達は美琴の近くまできたためその言葉だけははっきりと聞こえた。大事な話とは別れ話だった、それがわかった瞬間美琴の目の前は真っ暗になった。この状況で自分の姿を見られるわけにはいかない。そう考えると美琴は常盤台の寮へと走っていった。◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇寮に帰ってくると美琴はすぐにベッドに倒れこんだ。ここまで全力で走ってきたのだから疲れているのは当たり前だ。だがベッドに倒れこんだ原因はそれだけではない。上条と別れる、その闇に支配された美琴はうつぶせのまま泣き始める。「う…うう…なんで…当麻…なんでよ…ヒック…どうして……やだ、やだよ…うう…」汗をかいていることや足がつりかけていることなどもはやどうでもいい。なぜ別れなければならないのか、美琴の頭の中はその疑問で埋め尽くされた。するとふいに携帯電話が鳴る。この着信音は上条、それも電話のようだ。今の美琴が電話にでられるはずもなく1分ほど鳴り続いたあとその音は消えた。すると今度は別の着信音、これは上条のメールの音だ。美琴は携帯を手に取りおそるおそるメールを見てみる。『もう5時半だけどどうした?何かあったのか?連絡をくれ。』このメールが別れ話ではないことに少しほっとする。しかしもう今日会うわけにはいかない。この状態で会ってもろくに話しなどできないだろう。だが連絡しないわけにもいかないのでメールを送る。『心配かけてごめんね。今日は入試のことを学校に報告しないといけないから行けそうにないわ。 こっちから誘ったのに本当にごめんね。』真っ赤な嘘だがこの際しかたない。あの会話を聞いていて走って寮に戻ったなどと本当のことを話すわけにもいかない。震える手でなんとか送信を完了する。するとすぐに返信がきた。美琴は先ほどと同じくおそるおそるメールを見る。『そうか…残念だな。まあ何かあったのかと思ってたから無事でよかったよ。また明日にでも連絡する。受験お疲れ。』このメールを見て美琴は少し冷静になった。このメールを見る限り別れ話をしようという感じではなく、ただ純粋に心配してくれているだけだ。美琴は体を起こしベッドに座り公園での出来事を思い出す。先ほどは上条の言葉を聞き気が動転してしまい悪い方向にばかり思考が進んでいた。しかし冷静になってからあの公園での出来事を考えるとまだ別れ話だと決まったわけではないと思うようになった。だいたい別れるからといってあの上条が“飽きた”や“めんどくさい”などと他人に漏らすだろうか。冷静に考えればそれはありえない。それにはっきり聞こえた上条の言葉では『美琴』ではなく『アイツ』と言っていた。ならば先ほどのことは自分の勘違いで本当は別の話ではないか、と美琴は考えた。しかしすべての不安が消えたわけではない。別れ話でなくても最近上条が自分に何かを隠していることは明らかだ。今日上条の隣にいた女性やその前の電話など不審なところが多すぎる。…まあ女性関連についてはそれ以前、ずっと前からいろいろと問題があるのだが。気分は落ち着いたため美琴は上条に電話をかけようとする。“大事な話”や最近のことについていろいろと聞くためだ。だがあとボタン1つで電話がかかる、というところで美琴の指が止まる。上条があのようなことを言うなどありえない、だがもし上条に心境の変化があってそれがありえたとしたら?電話で理由もわからないまま一方的に別れ話をされたら?そしてそのまま上条と会えなくなったら?美琴はまた悪い方向へと考えてしまった。この指があと少し下に動くだけですべてがわかるのに、美琴には電話をかけることができなかった。結局この後美琴は不安のため上条に電話もメールもしなかった。(明日会えば…すべてわかる……)こうして美琴は再度気持ちを落ち着かせる。もうすぐ帰ってくる黒子に今の心境を悟られないためにも。◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇翌朝目を覚ますとなくなりはしていないものの昨日ほどの不安はなかった。この日は休日、まあ卒業した美琴にとって3月はすべて休みということになるのだが。部屋に黒子の姿が見えないのは風紀委員の仕事へ行ったからのようだ。顔を洗い着替えをしてから携帯を見ると上条からメールがきていた。送られてきた時間は今から1時間前。その内容は『悪いけど急に1日中補習があることになって今日は会えない。また夜に電話かメールするよ。』上条に会えないとわかると残念だと思った反面少し安心した。安心したというのは別れ話をされるのではないかという不安がまだ完全には消えていないからだ。美琴は上条と会う予定がなくなったので朝食を摂った後、引越しの準備をすることにした。3月の終わりには新入生が寮に入ってくる。それまでに卒業生は退寮し新しい下宿先を見つけなければならないが下宿先については美琴は受かった高校の寮に入る予定なのでなんの問題もない。だが本当は寮などではなく上条と一緒に住みたかった。実際美琴は上条に高校生になったら一緒に住みたいと言ったことがある。上条の寮は男子寮なのでもちろんそこに住むわけにはいかない。だから他に部屋を借りて住みその費用は私が負担するから、などと説得を試みた。しかし上条からはお前にお金を払わせるわけにはいかない、とあっさり断られていた。数時間後、片付けを終えベッドへ倒れこむ。片付けといってもあと数日はここにいるためすべて片付けてしまうわけではない。今日行ったのは不要なものの処分と簡単な荷造りだ。「あらかた片付いたわね……立ち読みでもしてこよっかな。」片づけを終えた美琴は寮にいても暇なので立ち読みをするためコンビニに行くことにした。だが今日は運が悪くいつものコンビニに読みたい雑誌がなかった。「あーもう!なんでないのよ…」愚痴を言いながら少し遠めのコンビニに到着し目当ての雑誌があったため早速立ち読みを開始。こうしている間だけは不安から逃れることができた。立ち読みを始めて20分、読みたいものはすべて読み終わった。移動時間と合わせて1時間ほど時間が経っておりもう昼時であるため昼食を摂るため移動しようとする。「さてと…次はファミレスにでも……え?」美琴がコンビニの中から見たもの、それは補習があるといって学校に行っているはずの上条だった。時刻は12時を少し回ったところ、補習ならまだやっているはずだ。昼食を食べに来たとしても上条の学校からは離れすぎている。(なんで…ここに?急に補習がなくなったとか?…いやそれなら連絡をくれるはず…)不振に思った美琴は上条の後をつけることにした。話しかけることも考えたが昨日のことと朝のメールのこともあり話しかけずらかった。上条は全く美琴に気づいていない。(何を隠してるのかは知らないけど絶対に暴いてやるんだから!)こうして尾行を始めて30分、すでに美琴のイライラはMAXに近くなっていた。それもそのはず、この30分の間に上条はフラグを立てまくっていたからだ。まさに歩くフラグメイカーである。そこからさらに30分が経過。フラグを立てまくる以外には特に何も変わったことはなかった。強いていうならば上条の不幸さが改めてわかったくらいだ。尾行を始めて1時間近く経ったのにただ第7学区を歩き回るだけの上条。何件か店に入っていったがそれは食料品の安さを調べているだけで事意外本当に何も起こらない。(はぁ…何もなさそうだし帰ろうかな…それともここで声をかけようかな……)あまりの何もなさにいい加減飽きてきた美琴は悩み始めた。帰るか、声をかけるか、美琴が迷っているときについに上条が動いた。上条はポケットから取り出した携帯を見てそれに従い歩いていく。美琴は先ほどまで帰るか、話しかけるかなどと考えていたがもはやそんなことはどうでもよくなっていた。上条に気づかれないように今まで以上に慎重につけていく。美琴は自分の鼓動が少し早くなるのを感じた。するとたどり着いたのはそこそこ大きなマンション。上条はそのマンションに入っていった。(まずい!エレベーターを使われたら見失う!)そう思った美琴は何か策を練ろうとしたが必要なかった。なぜかエレベーターがこない。故障中でもないのにだ。上条はただ一言「不幸だ…」と言うと階段を上っていった。美琴はそれを見てどう反応していいか困った。(初めて当麻が不幸でよかったと思っちゃったわ…ごめんね当麻…)などと心の中で一応謝る。そんなこんなで目的の階らしい5階に到着。上条がインターホンを押して誰かが出てくるのを待っているのを美琴は隠れて見ていた。鼓動は先ほどより早くなっており冷や汗がにじむ。嫌な予感がする。美琴はその予感が当たってほしくないと願った。しかしその願いは叶ってはくれなかった。出てきたのは昨日の若い女性。美琴は目の前の現実を信じたくはなかったがその光景は変わらない。さらに聞こえてきた会話が追い討ちをかける。『あら、遅かったわね。』『すいません、まだこの辺の道よくわからなくて……』『ところで本当に彼女さんに内緒でこんなことしていいの?』『本当は昨日言う予定だったんですけどね、ここまできたら内緒にしとこうと思いまして。』『そうなんだ。まあ私が口出しすることじゃないわね。さ、早く上がって。』そうして上条はその部屋に入っていった。昨日と違いこの会話ははっきりと聞こえた。そして美琴は静かにその場を去った。昨日のように走るのではなく、泣くこともなく、ゆっくりとマンションをあとにした。美琴は気がつけば常盤台の寮に戻ってきていた。どうやって帰ってきたかなど覚えていない。無意識のうちに帰ってきたようだ。今日の出来事はあまりにもショックが強すぎた。昨日をはるかに上回る絶望感。顔は真っ青で全身の震えが止まらない。昨日はまだ自分の勘違い、ということも十分ありえた。しかし今日は違う。上条は自分を捨てた、もう別の女のところへいってしまった。それがはっきりとわかった、わかってしまった。ここで今朝の上条のメールを思い出した。夜には電話かメールをすると書いてあったはずがそのときに別れ話をされるかもしれない。上条はあの女との会話で内緒にしておくと言っていたが本当に内緒にするとは限らない。まだ別れたくない、その一心から美琴はポケットから携帯を取り出し電源を切った。こうして美琴は上条との連絡を絶った。◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇それから3日後の16日合格発表の日の朝、なんともいえない疲労感と喪失感に見舞われながら美琴は目を覚ました。上条に捨てられたショックで寝込みこの4日間は1度も部屋から出ていない。黒子や寮監は何があったのかと心配してくれたが体調が悪いと言ってごまかしていた。本当に体調は悪かったがその原因を言うわけにもいかないし、もし言えば黒子は上条に危害を加えるからだ。たとえ上条が自分を捨てたとしても上条が傷つくのは絶対に嫌だった。あれから数日間いろいろなことを考えた。あのときの電話相手はマンションの女性だったのか。最近付き合いが悪かったのはあの女性と会うためだったのか。受験を頑張れとメールしてくれたのは同じ学校に入らせず自分を遠ざけるためだったのだろうか。悪い方向に思考が進むことが多かった。しかし1番多く考えたことは上条との楽しかった日々だった。学校が終わると毎日のようにデートし、土日はいろいろなところへ遊びに行った。遊園地や映画館、ゲームセンター、水族館にプール、劇場や旅行にも行った。もうあの楽しかった日々は戻ってこない。最終的にはそう考えてしまい毛布に包まって泣く、そんな繰り返しだった。この日もずっと寮にいたかったが合格発表に行かないわけにはいかない。風邪は治っておりいるが重い足取りで受験した高校に向かう。結果は「合格……か。」周りでは受かって騒いでいる子や落ちて落ち込んでいる子がいる。だが美琴はそのどちらでもなかった。受かって落ち込んでいるのだ。理由はもちろん上条の存在。「受けてる時は楽しみだったんだけどな…4月からの生活…」頼もしい存在であった上条はもう自分のもとにはいてくれない。だが受かったことで逆に踏ん切りがついた。上条に会おう。会ってすべてを終わらせてこよう。そうして4月からの新しい生活をむかえよう。そう決意した。そして美琴は受付でいくつかの書類をもらうとその学校を後にした。いや正確には後にしようとした。「よ、久しぶりだな。その書類を見る限り受かったみたいだな。」その声の主は上条、いくら会おうと決意したといえどこれは早すぎる。ついつい書類を落っことしそうになる。美琴は会っていろいろな話がしたかったが何もでてこなかった。でてきたのは単純な質問だけだった。「な…んで…ここに…?」「なんでって彼女の合格発表の日だぞ?しばらく連絡つかなくて心配だったしここに来るのも当たり前だろ?。」上条が来たことがありえない、という表情をしている美琴を見て上条はため息をつく。「はぁ…なんて表情してんだよ…そんなに俺が来たことが嫌だったか?」「い、嫌なんかじゃない!でも…」思わず美琴は叫んだ。周りの視線が2人に集まる。「でも…なんだよ。まあいいや、俺も話したいことあるしちょっと移動しようぜ。」話したいこと、その言葉を聞いて美琴は上条から離れたくなった。しかしこれ以上上条に迷惑をかけるわけにもいかない。歩き出した上条にとりあえずついていくことにした。◇ ◇ ◇歩くこと数分、やってきたのはあのマンションだった。この時点で美琴は泣きそうになった。ひょっとしたらもう涙目になっているかもしれない。だが前を歩く上条はそんなことに気づかない。(今までなら絶対隣を歩いてくれたのに…)明らかに今日の上条は歩くペースが速かった。だから何回追いついても美琴は上条から数歩遅れてしまう。また手をつなごうにも上条は両手に荷物を持っていてつなぐことができなかった。上条はマンションのエレベーターの手前まで来てようやく歩くのが速かったことに気づいたようだ。「悪い!少しでも早くここに来たくてさ。」「別に…それだけ大事なことだもんね…」上条の言葉に美琴は自分の中にどす黒い感情が生まれたのがわかった。自分から上条を奪い取ったあの女が憎い。そしてその感情は1分でも、1秒でも時間が経てばどんどん膨れ上がっていくこともわかった。(あの女に会ったら速攻で電撃をくらわせてやる)部屋に着くまで上条が何か話しているようだったが美琴はそれを一切聞いていなかった。電撃をくらわせるなどと物騒なことを考えているうちにあの部屋の前にたどり着いた。インターホンを鳴らすのかと思いきや上条は鍵を取り出すとそれを使いドアを開ける。この時点で美琴はかなり帯電していた。しかし上条が右手で美琴の腕をつかんだため帯電していた電気は消える。「さ、入ろうぜ。」「え?ちょ、ちょっと!!」上条はドアを開けると美琴の腕をつかみ強引に引っ張って中へと入る。美琴はそれを振り払おうとしたが玄関を上がったところで上条のほうから離した。再び帯電しかけたがそこで美琴はあることに気づく。(あの女は…いない…?)中に人の気配はなかった。美琴の能力でも誰もいないということがわかる。そして通路の先の部屋に入ってみても女の人が生活しているような様子はなかった。それ以前に置いてある物がやけに少ない。まるで引越ししたてのようだ。そこでふと上条のほうを見ると顔を少し赤くし何か言いたそうだった。「まあ言いたいことはいろいろあるけどまずは美琴、合格おめでとう!お前なら絶対受かると思ってたよ。」「あ、ありがと……で、この部屋なんなの?」「ああ今から説明する。と、その前にこれ受け取ってくれ。ちょっと遅くなったけどバレンタインのお返しだ。」そういって手渡されたのは小さな四角い箱。きれいに包装されておりどう見てもどこかの店で買ってきたものだ。「(今年は手作りじゃないんだ…)わざわざ悪いわね。」お返しをもらえたことはもちろん嬉しい。だが去年は手作りだったことを考えるとやはり自分はこの程度の存在なのかと思ってしまう。まあずっと手に持っているわけにもいかないのでその箱を持っていたカバンにしまおうとすると「あ、あのさ…それ今開けてみてくれないか?」美琴はなぜ今?と思ったが別に断る理由などないので開けることにした。結構頑丈な包装ほどくと出てきたのは何やら立派な箱。(お菓子にしてはえらい豪華な箱ね―――え!?これは…)美琴の予想に反しその中身は――――――――――――指輪美琴が驚きのあまり固まっていると指輪を上条が手に取る。そして無言のままその指輪を美琴の薬指にはめる。上条は美琴の指のサイズなど知っているはずがないのだがなぜかぴったりだった。さらによく見てみるとその指輪には『KAMIJOU TOUMA KAMIJOU MIKOTO 』と刻印があった。さすがは学園都市製、小さな指輪だが文字ははっきりと見えるよう刻印されている。「それでだな、美琴も4月から高校生になって常盤台の寮を出ることになるしさ」そこでいったん言葉を区切り上条は美琴に優しく微笑みかける。「ここで俺と一緒に暮らさないか?」美琴はまだ目の前の状況が理解できなかった。ここはあの女の部屋ではなかったのか、上条は私を捨てたのではなかったのか。その他にも膨大な疑問が浮かんできたが、今はそんなことはどうでもよかった。嬉しさとともに涙がこぼれた。1粒、2粒とこぼれるともう止まらない。目の前で焦っている様子の上条の姿が歪んでいく。「え!?なんで!?ひょっとして嫌だったのか!!?指輪か!?一緒に暮らすってことか!?」それを言葉で否定しようとしたが泣いているためうまくしゃべれない。首を小さく横に振ると美琴は上条に抱きついた。上条はそんな美琴に驚いたようだったがすぐに腕をまわし優しく抱きしめる。久しぶりの彼の体温、久しぶりの彼の匂い、久しぶりの彼の抱擁。すべてが懐かしく、そして恋しかった。それから何分経ったのだろうか。美琴としてはもっとこうしていたかったが気分は落ち着いたし言わなければならないことがある。美琴は名残惜しそうに上条からそっと離れる。数分間立ちっぱなしだったため2人はとりあえずその場に座ることにした。それから少しの沈黙の後美琴が口を開く。「ありがとう、当麻…指輪も、一緒に住もうって言ってくれたこともすごく嬉しい…覚えててくれたんだ。」公園のことやあの女のことなど多くの疑問があったが美琴はとにかくお礼を言いたかった。「そんな大事なこと忘れるわけないだろ?前は美琴がお金を払うって言ったから断っただけだったしな。」美琴は手に目をやり薬指に指輪がはめられているのを確認する。しっかりと感触がある、夢ではない。と、ここで美琴は重大な問題に気がついた。「……あ…でも一緒に住むって言ったらうちの親がなんて言うかな…」それは両親が許可してくれるかどうか、ということだ。美琴としては一緒に暮らすのはもちろんOKだ。しかし美鈴はともかく旅掛はこういうことに厳しい。なんて説得しようかと美琴が迷っていると「それなら問題ないぞ。もう許可もらってるからな。」またしても上条に驚かされた。「受験の少し前だったかな、ほら美琴がうちに来てた時に電話かかってきたことあっただろ? あの電話の相手は美鈴さんで許可がおりたとこだったんだよ。 まあ一緒に住ませてくれって最初に頼んだのはもっと前だったけどな。」「そんなに前から……じゃ、じゃあ受験の前あんまり会ってくれなかったのは私の親を説得するため…?」「あー…いや、それはまた別のことでだな……」上条が言葉を濁す。と、ここで美琴は上条の変化に気づいた。今日はまだ上条の顔をしっかり見たことがなかったので気がつかなかったが前よりも痩せた気がする、というか明らかに痩せた。目元に隈もできており疲れがみえる。そこから導き出された答えは1つ。「ねえ……マンションと指輪のお金って…どうしたの?」「え!?……こ、これくらい上条さんにとって支払うのはたやすいことですよ?」明らかに嘘だった。片方でもかなりお金がかかりそうなのに貧乏学生である上条が簡単に両方支払えるわけがない。バイトをしていたに決まっている。それもかなりの時間を。「……バイトしてたんでしょ?」その言葉に上条はビクッっとする。図星のようで美琴を見てはいるが目は合わせていない。「し、してたけどほんの少しだぞ?1週間…いや4日くらいだったかな~……。」「ねぇ……本当のことを話して……。」美琴は上条をじっと見つめる。それに対し上条はしばらく考えたあと口を開く。「……わかったよ。話すからそんな悲しそうな顔するなって。」どうやら隠しても無駄と思ったようだ。「俺はここ2ヶ月くらいバイトしてた。お前も受験勉強で忙しくて会えないだろうから調度いいと思ってさ。 そんでそのバイトのお金で指輪買ったんだ。ま、そんな疲れるバイトじゃなかったから心配すんなよ。 欲をいえば受験の日にマンションのことを話してホワイトデーに指輪を渡したかったんだけどな、まあ風邪ひいてたならしょうがないよな。」「え?」美琴は上条の言葉に耳を疑った。今上条はなんと言った?受験の日にマンションのことを話してホワイトデーに指輪を渡したかった?「あ、のさ……まさか…受験の日の“大事な話”って…この部屋のことだったの…?」「ん?ああ。俺としては12日に一緒に住もうって言って13日に引越しの準備、 んで14日に引っ越して指輪を渡すって予定だったからな。」上条はまあ今日同時にプレゼントできたから結果オーライだけど、と言っていたが美琴の耳にははいっていかない。上条を尾行したときのような冷や汗が流れる。「それと……なんで風邪のこと知ってるの?」風邪をひいたということを上条が知っているのはおかしい。風邪だと言って部屋にこもり始めたのは13日からでそれから今日まで上条とは1度会っていない。町で黒子に会い聞いたのだろうか、と思ったがその答えは予想外のものだった。「なんでって…13日の夜に常盤台の寮まで行って寮監から聞いたからじゃないか。 ていうか最近は毎日行ってたんだけど寮監から俺のこと聞いてないのか?」「え……あ―――――」上条の言葉を聞いて美琴は思い出した。確かに13日の夜に寮監は美琴の部屋に来て何か話そうとしていた。しかし美琴は体調が悪いことを理由にそれを聞かなかった。そしてそれ以降も同じように寮監が来ても話を聞こうとはしなかった。上条が来てくれていたということに驚いている美琴を見て上条は不思議そうな表情を浮かべる。「まさか知らなかったのか?おかしいな…寮監に伝えてくれって頼んだのに。」対する美琴は今上条が言っていることが信じられないというような表情だった。だがそれは紛れもない事実、すべては美琴の勘違いだったのだから。「そ、そんな…バイトも大変だったはずなのに…わざわざ来てくれてたの…?」とんでもない勘違いをしてしまった、という思いから顔が青ざめていく美琴。だが上条は自分がバイトのことを話したことが原因だと思い慌てて弁解する。「い、いやだから別に大変ってことはないぞ!?さっきも言ったけど疲れるバイトじゃなかったし 美琴の笑顔が見れることを考えれば楽しいくらいだったしな!」「ッ―――――」大変でないはずがない。疲れないわけがない。上条の姿を見ればわかることだ。毎日のようにきついバイトをして食事なども削っていたに違いない。それなのに心配をかけないようバイトをしていたことを隠そうとしていた。それだけ苦労してホワイトデーことを計画してくれていたのに自分の勘違いで台無しにしてしまった。(最低だな……私……)美琴は謝らずにはいられなくなった。「……ごめんね…」「へ?何がだ?」「実はね…私こないだ当麻を尾行してたの…」それを聞いた上条は驚いたようだったが何も聞き返さず黙って話の続きを聞いていた。美琴は受験の日からのことをずべて上条に話す。「その前の日に公園で女の人といるのを見て…不安になって…それで次の日たまたま外で当麻を見かけてここまでつけてたのよ…」美琴の声が涙声になる。目からは先ほどと別の涙があふれそうになる。美琴は自分を責めた。なぜ上条を信じることができなかったのか。そんな自分が心底嫌になった。「その時この部屋から女の人がでてきたからてっきり浮気してるのかと思って…それで…連絡もしなくて…」「美琴…」「部屋にこもってて…当麻がきてくれてたのに……気づかずに自分の都合で追い返して…」上条はそこまで聞くと美琴を抱き寄せた。「まさか不安にさせてたなんてな……でも安心してくれ。あの人はここの管理人さんなんだ。 受験の日はたまたま会っただけだったしその次の日はちょっとした用事でここに来てたんだ。 本当ごめんな美琴……。」「と、当麻が謝る必要なんてないわよ!私の勘違いが全部悪いんだから!」上条に謝られたため美琴は慌てて反論する。「当麻は…私のこと考えてくれてたのに…私は…私は勝手に勘違いして落ち込んで…勝手にいらついて……それに―――」そこまで言って美琴の言葉が途切れる。上条がキスをしたためだ。「ん…それ以上は言わなくてもいい。そんなことより笑ってくれよ。」「え?」「俺は美琴の笑顔が見たくて指輪とこの部屋を用意したんだ。美琴が笑ってくれないと意味ないだろ?」「あ……」上条の言葉通りこの日美琴は1度も笑っていなかった。それどころか上条を尾行した日からずっと笑ったことがなかった。今朝まではもうこれから先は笑うことができないかもしれないとさえも美琴は思っていた。だが上条はこれからも自分の側にいてくれる。また笑うことができるのだ。上条から離れた美琴は泣きかけていたため目をふき顔を上げる。「ありがとう当麻」2度目のお礼の言葉とともに最高の笑顔を上条にみせる。それは作られたものではなく嬉しいという気持ちが心の底から現れたものだった。◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇そしてあれから1カ月後、新学期が始まり、とあるマンションで暮らす2人の姿があった。「ほら当麻起きて!朝ごはんできてるわよ。」「んー……」美琴に起こされると上条は寝むたそうに洗面所へと向う。上条が顔を洗っている間に美琴は朝ごはんをテーブルへと運ぶ。「おー……今日は普通だな。」「え?いつもと変わらないじゃない。」美琴が用意した朝食はパンとちょっとしたおかず、いつものメニューだ。「いや…美琴の格好がさ。」その言葉に美琴の顔は真っ赤になる。今の美琴の服装はパジャマにエプロンをしている。が、昨日はパジャマを着ていなかった。つまり…裸エプロンである。それを見た上条は暴走、ことが終わるころにはとっくに学校は始まっており2人とも休むはめになった。「……ま、まあ…あれは休みの日だけにしておくわ。毎日してたら学校に行けそうにないし……」休みの日はするのか、と上条は思った。「それにしても…毎日メシ作ってもらって悪いな…他の家事もまかせっきりだし…」上条の言葉通りこの部屋で暮らすようになってから家事はすべて美琴が行っていた。上条も手伝うと言ってくれたが美琴は断っていた。上条には指輪とマンションのお礼、という理由にしていたが本当は上条を疑ってしまった償いでもあった。また家事以外にも上条のためにできることはなんでもしようとしていた。ちなみに裸エプロンも償いの1つである。それからもう1つの美琴が家事をする理由、それは「何言ってるのよ!私は当麻のお、お嫁さんなんだから当たり前でしょ。」家の中では美琴は完全に『上条美琴』モードであるからでもあった。そして2人で朝食を食べ学校へ行く準備をする。「美琴ーもう行くぞー。」「ちょっと待ってー…ってお弁当忘れてるわよ!」「何ぃ!?美琴の愛妻弁当を忘れるとはなんたる不覚!!」「愛妻って…まあその通りだけど…///」「悪い悪い、じゃ行くか!」そして2人は途中までだが一緒に登校していく。初めてマンションに来たときと違い上条は美琴の隣を歩き手をつないでいる。その指には指輪があり今の美琴に不安は一切ない。「それにしても……美琴といると幸せだな。」「い、いきなり何よ。」突然の上条の言葉に美琴の顔は少し赤くなる。そんな美琴を見て上条は笑いながら答える。「いや~好きな子と一緒に住んで毎日その笑顔が見れるんだからな、この上ない幸せ者だよ俺は。」それを聞いた美琴は立ち止まり上条もつられて止まる。そして美琴は笑顔で上条に問いかける。「ねぇ当麻……これからも一生私の側にいて私の笑顔を見続けてくれる?」上条はすぐに美琴の問いかけに答えた。その答えは言わずともわかるだろう―――――
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2726.html
アレイスターの思惑 ある日美琴「♪~」スススー(スマートフォンを操作している音)美琴「ん?」Advertisement(広告)こんな経験ありませんか!?・好きな人にツンツンしちゃう・もっとアプローチしたい・物陰から観察してる・いつも好きな人のことで頭がいっぱいで、ボーッとしてる・エロい妄想をしちゃったことがある美琴(全部当てはまってる・・・!////)でも、もう心配ない!!これさえあれば大丈夫!!ツリーダイヤグラムの1000倍の演算能力を誇る、ツリーダイヤグラム・改で徹底的に解析した最高のシミュレーションを貴方に!!製作者の言葉これは恋愛シミュレーションであってもギャルゲーではない。従来のギャルゲーに必ずと言っていいほど登場する、設定・キャラクター・選択肢・・・そういったものはこのゲームに存在しない。それら全ては、プレイヤーである君たちが決めることだ。リアルタイムでツリーダイヤグラム・改が演算し、リアルとほとんど変わらないシミュレーションをしてくれる。君たちがこのゲームを通して、明るい未来を切り開くことを期待する。実際の使用者の感想Apium graveolens さん最初は胡散臭いと思ってたんですよ。だけど、物は試しと思って購入してみました。そしたら、last order とわずか3日で付き合うことができたんです!感謝!nonluminous matter さん面白そうだから買ってみたら、的中してたし!マジ常識が通用しねえなwいやーありがたいね。おかげでハーレム(10032人)が完成したぜ。今は、修羅場にならないために使わさせてもらってるよ。dormitory superintendent さん一度は振られたD先生にアタックするために使ってみました。このゲームで傷心の彼を一番都合の良い方法で慰めるシミュレートを34時間連続で模索し、結果的に上手くいきました。今では、毎週末デートしてます。これで寮生のK.Sに今まで散々言われた分、首を狩ることができます。ありがとう。美琴(これは・・・もしや本物!?)美琴「いくらかしら?」今なら先着100名様に限り10万円での提供となります。美琴「・・・・・・購入ボタンをポチッとな」数時間後『入金が確認されました。只今よりアプリを送ります』送信中・・・美琴「きたきた。えーっとインストールっと・・・」『インストールが完了しました』美琴「(・∀・)」『では初めにこのゲームの説明をします』『このゲームは一言で言うと自由です』『どこへでも行けるし、なんでも買える。人と話すこともできれば、学校に通うことも可能です』『セリフはリアルタイムで貴方が話すのです』『早い話がリアルをこのプログラムに押し込めたと言ったところです』『一つ一つの動作は貴方の生体電気を通して行われます。貴方が目の前のパンを食べると考えれば、目の前のパンは減ります』『ただし時間だけは望むのならスキップしたり、流れを速くすることも可能です』『細かいことはゲームをしてるうちに分かってくるでしょう』『では本命の人の名前をを入力してください』美琴「上条当麻に決まってるでしょ!!」『書庫にアクセス中です。しばらくお待ちください』『上条当麻・レベル0・幻想殺しで間違いありませんね』美琴「そうよ、早くしなさいよ!」『本命 上条当麻の周りの人間関係を検索・・・検索結果をダウンロード』『準備が整いました。ゲームを開始します』『今の上条当麻の貴方への愛情度は6300と判明。周りの女子の中では断トツです』『しかしながら、恋人になるために必要なパラメーターは999999です』美琴「(´・ω・`)」上条『よおビリビリ』美琴「ビリビリじゃないつってんだろうがああぁ!!」上条『うおっ、やめろおおぉぉ!!』ピピピ・・・好感度6100美琴「いけない!またやっちゃった・・・」美琴「ごめんね・・・」上条『いいさ、気にすんなって。お前がそんな顔してる方がよっぽど辛いからさ』美琴「うん・・・ありがと」ピピピ・・・好感度7050 美琴「!!やった♪」 1ヶ月後美琴「ほら、ここは平方完成して・・・そうそう」上条『なるほどな。つーことは・・・こうなって、終わったああぁぁ』美琴「よかったじゃない」上条『これも御坂のおかげだな。なにかお礼をさせてくれよ。ただし命と金以外な』美琴「そんなことしないわよ。本当になんでもいいの?」上条『男に二言はねえ』美琴「じゃあ、今度の土曜日買い物に付き合って」上条『お安い御用だ』美琴「楽しみにしてるからね」美琴「フーッ、好感度989999か・・・ここまで長かったわね」美琴「黒子に問い詰められたり、学校でやってたらばれそうになったし、寮監にも怪しまれてるみたいだけど、ここまでくればもう当麻は落ちたも同然よ!」1週間後美琴「遅いわよー」上条『と言われましてもまだ10分前じゃないか』美琴「細かいことは気にしない気にしない。こういう時は女を待たせちゃいけないのよ~」上条『そういうもんかねえ』セブンスミスト上条『あの服なんかいいんじゃないか?』美琴「確かに可愛いわね」上条『それもそうだけど、清楚系って感じがして』美琴「試着してみるね」美琴「え~っと、服を選べば勝手にデータが当麻の頭の中にインプットされるのよね」美琴「どう?」上条『』美琴「ちょっと!返事しなさいよ」上条『はっ!完全に意識飛んでた、ってか本当に御坂なのか?』美琴「そうだけど・・・」上条『普段とのギャップが・・・。似合いすぎて可愛すぎて、落ちかけたぞ・・・』美琴「今のもっかい言って!」上条『嫌だ。恥ずかしい(/ω\*)』ググーン好感度999899美琴「へ、へーまぁいいわよ////」夜レストランの前上条『もうこんな時間か~送っていくぞ』美琴「えっもう・・・今夜さアンタの家に泊まりたいんだけどさ・・・」上条『ダメ、今夜は危険すぎる。理性を保てる自信がない。狼条さんになっちまう』美琴「だめ・・・かな」上目遣い+目ウルウル上条『がはぁっ!!』美琴「アンタ?ちょっと吐血してるじゃない!?どうすれば・・・・・・もう仕方ないわね」美琴「これは、当麻を看病するために仕方なくなんだから・・・そうこれは恩返しなのよ」美琴「さてここで一応データをセーブしようかしら」上条の学生寮上条『う、うーん?』上条『そうだ、確かあの必殺技でKOされたんだ・・・んでここに連れられたのか』美琴「目覚めたみたいね」上条『おう、お陰様でな・・・ってお前なんだその格好はぁ!?』美琴「何って、シャワー浴びてたのよ」上条『だとしても無防備すぎるぞ!もうちょっと胸元とか隠せよ!』美琴「ねえ」上条『なんだ?』美琴「狼条さんはマダー?」上条『わざわざ俺の理性を崩すような発言はやめろぉ!!本当に襲うぞ!?』美琴「いいよ////」上条『そうだろ、だからこんな馬鹿な真似はよs・・・はい?』美琴「だ、だから良いって言ってんでしょうが!!////」上条『・・・』上条さん近づき、肩に手を載せる美琴「あっ・・・」どんどん近づく美琴「ふ・・・」上条『ん?はっ!!待て、みこt』美琴「ふにゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」美琴(あれから1ヶ月の歳月を費やして私たちは結ばれた。何回やり直したことやら・・・)美琴(今の私たちと言えば、結婚してちょうど4ヶ月の赤ちゃんがいるみたい)美琴(さて、いつまでもこの幸せを享受してたいところだけど、リアルの当麻のところ行かなくちゃ)美琴(既に一度当麻を攻略している私に不可能の文字はない!!) いつもの公園美琴「見つけたわよー!ちょっとアンタ!」上条「んんー?なんだビリビリ中学生か」美琴「いい加減名前で呼べや、このヘタレ野郎おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」上条「うおおおおぉぉぉ!!」ポロッ(上条さんからなんか落ちる)美琴「なんか落としたわよ、これスマホ?」落ちた衝撃で電源ON上条「待て、御坂!!それを見るな!!」美琴「もう遅いわよ・・・って、えっ?」上条「」スマホの画面CSGの画面攻略対象 御坂美琴(常盤台中学・Lv.5・超電磁砲)好感度 284857555美琴「」上条「そのな御坂、これには深いわけが・・・」美琴「アンタ、私のこと・・・」上条「~~~/////ああそうだよ、好きだ!ヤバいくらいに惚れ込んでるぜ!何か文句あっか!?////」スッ(美琴、スマホ差し出す)上条「?これって・・・」美琴「私もアンタにパーソナルリアリティーがぶっ壊れるくらいに惚れてるわよ!!」上条「なんだよ、お前もかよ」美琴「じゃあやることは分かってるわよね」上条・美琴「「好きだ、愛してる。付き合ってください!!」」アレイスター「ふむ・・・暇つぶしにと思ってスパコン・ゲームを作ってみたが、なかなか面白いものが見れて何よりだ」アレイスター「それにしても、あれほどの演算能力を誇るスパコンでも予測できないとは・・・これだから、人間観察はやめられない」アレイスター「何はともあれ、プランは順調だ。あとは微々たる軌道修正だけで済むだろう」そう言ったアレイスターの前のモニターにはこう書かれた文書があった。 ”上条美琴進化計画”
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2088.html
涙を流す、キミの言葉 12月23日 AM 2:57上条当麻は、夢をみていた。「うぅッ・・・どうしてッ・・私、ばっかり・・・こんなッ目に・・・あうのッ?」見知らぬ少女が、土砂降りの雨の中で傘も差さずに泣いている夢―・・・。「なんでッ・・・いつも・・・1人ッ・・なの・・?」紺色の制服を着た、サイドテールの少女だった。びしょ濡れになっていて、今にも倒れそうなくらい弱々しかった。しかし、上条は不思議とその少女が小さく叫ぶ言葉に両親から聞いた「幼いころの自分」を重ねてしまっていた。いつも1人。自分ばかりが不幸に。(誰だ・・・この女・・・)知らないのに、自分と似ている。その1つ1つの言葉で、心が乱れていく。(やめろ・・・やめてくれ・・・)雨は一向に止まずに少女を叩きつける。「助け・・てよ・・・ッ・・だれか・・・お願い・・ッ」(あッ・・・今の言い方・・・?)すると今度は愛人にも似た台詞を叫んだ。あの日、鉄橋で美琴が小さく言った言葉だった。(な・・・何なんだ・・?)上条はだんだん恐怖心が湧いていた。この少女が自分の過去を語っているようで。と思ったら美琴までー・・・。そして、上条の思考がついていけなくなった途端。目の前が真っ暗になった。12月23日 AM 6:07真冬の朝は、この時間でもまだ薄暗い。光も差さない寝室で、上条当麻は目覚めた。「んッ・・・もう朝か・・?」うっすら目をあけると、慣れない白い天井が広がる。隣には可愛いらしいパジャマを羽織った愛人の御坂美琴、手にはなんだか柔らかな感触・・・「何だこれ・・って・・えぇッ!?」見ると、美琴が上から心配そうな顔で覗き込んでいる・・・のだか、上条の手を自分の胸に置いている。「当麻、大丈夫?すごく唸ってたけど・・・」「みみみ美琴さん!?その手は一体ッ!?」「え、えっと・・・その、唸ってたから、こうすれば安心するかなーって・・・」妹もやってたし、と顔を赤くしながら答える美琴。「それ以外に安心させる方法はなかったのか・・・俺、どんな目で見られてるんだよ」同じく顔を赤くしてツッコむ上条。そして手を胸から離し、起き上がる。「あ、ありがとな。美琴。心配してくれて・・・方法はアレだけど」「う、うん。でも、どうして唸ってたの?」「えと・・・変な夢、見ちゃってさ。何か、全然知らない女の子が泣いてるんだよ」「全然知らない、女の子?」「ああ。見たこともない子が、大雨の中ひたすら泣いてるんだ」「何か・・・不思議だね。でも、それだけで唸ってたの?」「いや・・・泣きながら言ってた言葉がちょっと小さいころの自分と重なってさ・・・」上条は少し寂しそうに笑った。両親から聞いた記憶を思い出しながら。「そっか・・・」美琴はそんな上条を見て、少しだけ想像してしまった。上条の過去を。「当麻。でも大丈夫だよ。今は私が当麻を支えるから」そして、上条をそっと抱き締めた。「当麻が不安だって思う時間を減らしたい。不幸だって言ってほしくない・・・」「美琴・・・」「泣きたいときは、私のそばで泣いー・・・」て、と言う前に、上条が美琴の口をキスで塞いだ。「ありがとう、美琴。安心しろ。俺は過去なんて気にしないから」そういうと、上条は抱きついている美琴の背中を撫でた。美琴は目を閉じ、優しく笑った。2人はお互いの体温で、すっかり温まっていた。そうして美琴は上条の胸の中で目を閉じていると、いつの間にか寝息をたてていた。まだ6時で、あたりも暗いからか、眠気が襲ったのだろう。上条は美琴をベッドに寝かせると、布団を肩まで掛けた。愛しい彼女の頬にキスをすると、明日のイヴに向けて準備を始めた。 ここは、神奈川県にある「とある高級ホテル」の一室である。2日前、今年のクリスマスは両家でパーティよ!というメールが美鈴からきたので、2人は22日までに実家に帰ることになっていたのだ。しかしなぜ実家ではなくホテルに泊まっているのか―。2人の両親―つまり御坂美鈴と旅掛、上条詩菜と当夜は現在、「ゆったり7日間!クリスマスイルミネーションツアー&温泉旅行の旅」に行っている。詩菜がデパートの福引きで見事1等を当て、4名まで同行可能ということだったので、「この際みんなで行きましょう」的な流れである。4人はイブに間に合うよう、今月の16日に出発していた。そして今日で7日目。4人とは駅で待ち合わせの予定だ。・・・まぁ、ホテルで泊まらせたのは美鈴の作戦なのだか。2人は22日に帰ってきて、と言われたのにいざ帰ってくると誰もいない。美琴はメールでなぜ不在なのか確認しようとすると、テーブルにはわざとらしく置き手紙があったのだ。「Dear 美琴ちゃんへ☆ ママとパパは温泉旅行に行ってるけど明日帰ってくるから安心して~ あと、近くのホテルに2人1部屋で予約しておいたから、夜はそこに泊まってねー♪ くれぐれも過ちは犯さないようにね! From 美鈴」裏にはホテルの地図、横には宿泊費の入った茶封筒。そして―・・・すぐに美鈴に若干怒り気味で電話する、美琴の姿。「ちょっとーッ!!何考えてんのよアンタはーッ!!」「ちょっぴり嬉しそうに聞こえるのは気のせいなのかなー?」「なッ!?と、とにかくッ!なんで2人1部屋で予約してんのよッ!?普通じゃないわよコレッ!!」「そっちの方が安かったしー。それに、2人は過ちを犯さないって信じてるから♪」「ふざけんなぁーッッ!!!」見事に罠にはまってしまったビリビリ少女なのだった。ちなみに上条も家に着くと、同じような手紙があった。「当麻さんへ 母さんと父さんは温泉旅行に行ってます。明日には帰るので安心してください。 夜は近くのホテルで過ごしてください。 詩菜より」「あぁーッッ!!!!なんでこのタイミングなんだよーッッ!!!」不幸だ、とは叫ばないのはきっと少しだけ嬉しさがあるからだろう。その後、上条が美琴に電話をかけて状況を把握し、ホテルに向かったのだった。ホテルでは2人でゆったりと過ごすことができ、イヴ前日には幸せすぎる1日だった。たとえば、「当麻!今日一緒に寝てもいい!?」「ッッ!?いいけど・・・/////」ほんのり顔を赤くした2人が仲良く夜を明かしたり。「美琴、夜景がきれいだぞ」「ホントだー!写真撮ろッ!」「あ、待って・・・」「ひゃあッ・・・!!」「美琴も十分きれいだけどな・・・」上条が不意打ちで美琴を抱きしめたり。美鈴が与えたチャンスを存分に楽しんだ2人なのだった。 同日 AM 8:03カーテンから差す明るい日差しと、暖房で暖まった部屋で御坂美琴は目を覚ました。(んッ・・・ここ、どこ・・・?)むくりと起き上がってきょろきょろすると、ドアが少し開いていた。その向こうで、上条が何か支度をしていた。(何やってんだろ・・・)美琴はベットから出ると、ドアの向こうの上条に声をかけた。「何やってるの?」「おー起きたか。帰る準備だよ。朝一のチェックアウトだからな」「!!そうだったッ!ヤバいまだ何もやってない・・・」「あわてなくていいよ。1泊2日で荷物少なかったからほとんど片づけておいたから」「ほ・・・ほぉ・・」「さすがに洗濯物は片づけてないから自分でな」「うん・・・」今日の彼はなんだか凛々しいかもと思いながら支度をする上条に近づく。「当麻」「うわぁッッ!!」そして、後ろからぎゅっと抱きついた。「ありがとね、起きるまでに片づけてくれて」「お、おう・・・それより美琴、早く着替えた方がいいんじゃないか?」「んー。そうね。じゃあ待ってて」ふわっと温もりが離れる。(あれ、わざとじゃないよな・・・)抱きついたときの柔らかい感触が恥ずかしくて離したことは胸にしまうのだった。同日 PM 9:061時間後、朝食をとってチェックアウトした2人は実家に向かっていた。両親を迎えに行く前に、荷物を置きにいくためだ。今日も快晴だがとても寒く、空気は乾燥気味だ。美琴はキャラメル色のファー付きコート、上条は黒のダウンジャケットで街中を歩いている。「明日のクリスマスパーティー楽しみだね」「だな!久しぶりに騒げるし」「騒ぎすぎてお酒なんて飲まないでね?」「わかってるって」どこにでもありそうな普通の会話。しかし2人の表情はどこよりも楽しそうだった。「ちゃんとプレゼント買った?」「もちろん。美琴が気に入りそうなヤツだから楽しみにしとけよー」「ほんと!?楽しみ!」恋人繋ぎで繋がる愛は、きっといつまでもお互いを離さないだろう。未来永劫、約束を守ると誓ったから。 同日 AM 10:1711時ぐらいにつくから、と美鈴からメールが入ったので実家に荷物を置いてきた2人は現在、バス停に向かっている。この場所からはバス+電車で8駅で約30分なので丁度良い時間に着く予定だ。「母さんたちも楽しかっただろうなー」「そうね。お土産とか大量に買ってそうだし」「温泉旅行か。いつか2人で行きたいな」「うん!」いつものような笑顔の絶えない会話。しかし。その笑顔を打ち砕くような光景が、目の前にあった。「あッ・・・!?」通ろうとした橋に。あの「見知らぬ少女」が、いた。「なッ・・・!あッ・・・」サイドテールで紺色の制服。長身ですらっと長い脚。「どうしたの?当麻」「あ、あの女・・・!夢に出てきた・・・」「えッ!?」少女は携帯で電話中だった。聞こえてくるその言葉は。「うん・・・いいよ。あたしはこの道1人で歩んでいくから」夢とは正反対の、強い言葉だった。「味方なんて、いらないのかもね。この世界は、甘くないから」上条でも美琴でもない、少女だけの言葉。「でしょ?あたしはいつだってまっすぐだよ。迷っても答えに必ずたどり着く」「もう、大丈夫。いろいろありがとね」その言葉を聞いて。上条は、不思議と安心していた。同じような境遇だった自分も救われたような気がして。「美琴、行こう。バスに遅れる」「え?い、いいの?あの女の子がどうとか」「いいんだ、もう。あの子はあの子で、きっと運命があるのかもしれない」「ふ、ふぅん・・・何かよくわからないけど・・・」橋を通る。もう、怯えない。そして、少女とすれ違う。一瞬不安がよぎったが、美琴と繋いだ手を握り返した。夢に出た少女が夢と正反対の言葉で現実に現れた。一見怖く感じるが、上条はどうでもよかった。涙を流す、キミの言葉。「強くなるよ」「今、あたしの後ろを通った少年みたいに、ね」Fin.
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3237.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/こぼれ話 大覇星祭こぼれ話 Ⅳ 上条「さて、今回からは超電磁砲【外伝】サイドから見た大覇星ってわけだな」 美琴「と言っても、正確には『2日目』以降で、禁書目録【原作】の補完にしてはそっちよりも大変なことになっちゃってる感があるんだけどね」 ミ妹「そうですね、とミサカはお姉様の言葉を肯定します。【原作】は学園都市が魔術サイドの刺客に乗っ取られるかもしれないというお話でしたが、【外伝】は学園都市が滅亡するかもしれないというお話でしたから、とミサカは少しだけネタばらしします」 上条「え゛……? アレってそんな大事だったの……?」 美琴「そういう事よ。でもまあ、それはもうちょっと後の話だから今回は純粋(?)に大覇星祭の競技を楽しむってことで。というわけで布束さん、自己紹介よろしくねぇええっ!」 布束「私、高校生、あなた、中学生。長幼の序は守りなさい」 美琴「け、けほっ……あ、相変わらずでなんだか嬉しいですわよ? 今のローリングソバット」 上条「(……御坂が蹴られて文句言わないって……?)」 布束「again 私の名前は布束砥信。長点上機学園三年生。生物的精神医学に関しては誰にも負けないつもり。あと妹達の『学習装置』【テスタメント】を作ったのも私。ところで御坂美琴、今回はタメ口でも許容してあげる。あなたには大きな借りがあるから」 美琴「ありがとうございますー」 上条「あっそうか」 美琴「何? どったの?」 上条「この人、初めて会った割にはどっかで見たことあると思ってたんだけど、今のセリフで思い出した。超電目録(前編)んときに御坂に説教してた人だろ?」 美琴「何を今さら?」 上条「いやーあん時はギョロ目だったのに今日はクールな目だろ? だから初めて会ったと思ってしまったんだなぁあっ!」 布束「fool 女性に対してあなたはデリカシーを持ちなさい」 上条「だ、だからってかかと落としは……一瞬白い何かがぁあああっ!!」 布束「……忘れなさい」 ミ妹「今の布束さんの上段回し蹴りはともかく、ところでどうしてこちらの方が呼ばれたのですか、とミサカはお姉様にお聞きします」 美琴「ん? だって布束さんって(私と同じで)アンタたちのお姉さんみたいなもんよ。今のアンタの性格は布束さんが作った学習装置が元なんだし、今回のお話なら、今、アンタがどういう生活をしているかを見てもらうのに丁度良いんじゃない?」 ミ妹「なるほど。という事は今回はミサカのターンという意味なのですね、とミサカは心躍らせます」 布束「……随分、感情を露わにするようになったわね。Maybe ひょっとして一九〇九〇号からミサカネットワークで何か受け取った?」 ミ妹「禁則事項です、とミサカは人差し指を唇に当ててウインクします」 上条「何の話だ?」 美琴「さぁ? 私も知らない話みたい」 「(今このような場に出すのは彼女のためによくないでしょう)今回は辞退させていただく方向で……」 「そ そんなぁー」 上条「実際はどうなんだ? もし出られてたら出てたのか?」 美琴「んー…個人的には、あまり目立つのって好きじゃないから断りたい所だけど…運営委員の事を考えると断りにくいかな……」 ミ妹「確かにもしもお姉様が辞退したせいで代わりにあのアルビノモヤシ変テイロリコンが出たらと思うと薄ら寒いですしね、とミサカはスラスラと毒を吐きます」 布束「question 『変テイ』って何かしら?」 ミ妹「『変態』と『変なTシャツ→変ティー』を掛け合わせた造語です、とミサカは説明します」 美琴「そうなの? 私はてっきり、『変なテイスト』の略だと思ったんだけど」 ミ妹「それも間違いではありません、とミサカはお姉様の案も採用します」 上条「……お前ら、第一位さんの悪口を言う時はイキイキするなぁ…」 「ええ……今年はデモンストレーションを超能力者にやらせる方針とかで…… ですが……」 ―――― 「…失敗だったみたいですねー」 「ええ」 上条「運営委員も大変だな…吹寄も苦労してたんだなぁ……」 ミ妹「そもそも人格破綻者に選手宣誓をやらせるという企画そのものに問題があるのではないでしょうか、とミサカはお姉様を横目で見ながら苦言を呈します」 美琴「な、何だとう!? 私はこれでも、レベル5の中では一番『まとも』だって評判なんだからね!」 布束「一応、多少は変人である事に自覚は持っているようね」 [常盤台中学所属 御坂美琴婚后光子ペアだ!] ミ妹「隣の方とは随分とスペックが劣りますね。主に胸が、とミサカはお姉様のまな板っぷりに含み笑いを隠せません」 美琴「アンタそれ自分の首も絞めてるって分かってんの!?」 ミ妹「ひゃ~~~っ」 布束「pooh! 女性の価値はバストの大きさで決まるわけではないわ…」 上条(上条さんは学習していますよ。この手の話題には下手に触れない方が良いという事に!) [私は本来は参加する側なのだけど『ヘソ出しカチューシャ』でお送りする] 上条(あれ? この声と口調…それにカチューシャって……) 美琴「…? どうしたの? 変に考え込んだ顔して」 上条「いや…この解説の人、多分俺の学校の先輩なんじゃないかな~って」 ミ妹「ちなみにどんな方ですか、とミサカは本当はあまり興味が無いけれど貴方と会話をしたいがために疑問を投げかけます」 上条「えっと、とりあえず胸が大きくてだな…………ハッ!?」 美琴&ミ妹&布束「「「……………」」」 [ふむ……間違えて下着のヒモを切ってしまったようだけど 所詮ケダモノか] [だがへたり込んで動けない様子 これは事実上のリタイアか? ハムスターグッジョブ!!] 上条「ハムスターグッジョブ!!…………ハッ!?」 美琴「ほっほ~う…?」 布束「sigh…全く、男という生物は…」 ミ妹「そんなに下着が見たいのならばミサカがいくらでも見せてあげます、とミサカはスカートをたくし上げようとします。そーれぴらーん」 美琴「それを私が阻止します。アンタねぇ! 乙女なんだから、そのすぐにスカートまくり上げるクセ何とかしなさいよ!?」 布束「Hmm……やはり羞恥心は必要だったかしら?」 ミ妹「別に見られて困るような物ではないでしょう、とミサカは隙を突いて今度はお姉様のスカートをめくります」 美琴「にゃああああああ!!! やめんかいっ!」 布束「but、あなた短パン穿いてるじゃない」 上条(とは言え、これはこれでドキドキするんだよな……短パン云々じゃなくてスカートが捲れ上がるだけで……また怒られるから言わないけど) 布束「あなた今、これはこれでドキドキするんだよな……短パン云々じゃなくてスカートが捲れ上がるだけで……って思わなかった?」 上条「―――!! いやいやいやいやいや! そんなこと微塵も思ってませんのことよ!? と言うか、最近このネタ多いな!?」 ミ妹「片割れの作者が『世界よ、これが日本のクトゥールだ』というラノベが好きだからなのではないでしょうか、とミサカは生パンなのに短パンに負けてがっかりしながら予測します」 美琴「な、何の勝敗よ! 何の!!///」 「ま それで助かったんだし許してよね」 布束「but still あなたの能力って応用力が高いわね。砂鉄をこんな風に使えるなんて」 美琴「まぁ、色々と練習したからね」 上条「俺としては、超電磁砲より砂鉄の剣の方が怖いくらいだもんな」 美琴「へぇ? じゃあ超電磁砲なら、何発ぶっ放しても平気って事ね?」 上条「………堪忍してつかあさい」 美琴「あはは! どうしよっかな~?」 ミ妹「おうコラそこ! なに痴話ゲンカしてやがんだ、とミサカはツッコミを入れます」 布束「(痴話ゲンカって、カップル同士が行う他愛のない喧嘩の事を言うのだけれど…)」 「あ、ママ」 「やっほ――――」 「どうしたの? 待ち合わせまでまだ……」 「「ママぁッ!?」」 上条「まあ、初めて美鈴さんを見た人はそうなるわな」 美琴「うん。こん時の初春さんと佐天さんの驚きぶりも半端無かったわね」 ミ妹「この御方を見ますとミサカはいつかダッダーンボヨヨンボヨヨンになれると思えて、それまではお姉様のクローンである事を悔やんできたミサカに忸怩たる思いを抱かせます、とミサカはここにお姉様に謝罪申し上げます」 美琴「……今のって謝ってるとは言わないわよ?」 布束「surprise 妹達は本当に変わったのね……」 「あーでも言われてみればパーツパーツに御坂さんの面影が…『胸』以外」 「よーし佐天さん、あとでゆっくり話そうか。二人きりで」 布束「そう言えば、私が妹達の姉みたいなもの、という事は、この人は私のお母さんみたいなもの?」 美琴「いや、さすがにそれは飛躍し過ぎ。ていうか、布束さんもボケるのね」 上条「ところで御坂。お前、佐天さんとあとでゆっくり何を話したんだ? 二人きりってことは何か大事な話ってことか?」 ミ妹「あなたのはボケですか? 天然ですか? とミサカは判断にとっても困ってしまいます」 「アイツ? アイツって何? ママ気になるぅー」 布束「それは私の気になるわね。『アイツ』って一体誰―――」 美琴「そのくだりは前回散々やったからっ!!!///」 上条「結局、誰なのかは分かんなかったけどな」 ミ妹(おめーだよ、とミサカは思わず言いそうになりました。あっぶねー) 「いや 御坂さんがいろいろとお世話になってる人みたいで」 「ほほぅ それでそれで?」 「あ 私さっき借り物競争の中継観てたんですけど御坂さんがツンツン頭の………」 てっ……敵が三人……だと!? 上条「…? 借り物競争…ツンツン頭……なぁ御坂、もしかしてこれって―――」 美琴「なああああああぁぁぁぁん!!!!! か、かかか、関係ないからね!? アンタと借り物競争でアンタとゴールした事は全っ然関係ないからねっ!!?///」 上条「えっ? あ、そうなの? 一瞬、俺の事を言われたのかと思ったけど、何だ違うのか…」 ミ妹「ふぃ~…お姉様の性格に助けられました、とミサカは安堵の溜息を吐きます」 布束「あっ、なるほどね。I see、察したわ」 上条(……ん? ちょっと待て。何で俺今、残念だとか思ったんだろう……?) 布束「言葉にしないと伝わらないわよ?」 上条「あなたには読心術の能力でもあんの!?」 ミ妹「? 何を思ったのですか? とミサカは素で問いかけます」 美琴「ま、どうせ、『あの金髪ツンツン頭の人だろ』とか大ボケかまそうとしたんでしょうけど」 布束「……借り物競走であなたが引っ張ったのはそちらの彼じゃなかった?」 ミ妹「これはお姉様も鈍感なのかそれとも相当のトラウマがあるのかどちらなのでしょう、とミサカはちょっと真面目に考えます」 「大覇星祭」 「どこの学校にも所属していないミサカには参加資格がありません」 「ミャー」 「…病院に戻りましょう」 美琴「あ、あ、あ、あ、あ、あ、危っな~~~~~……アンタ……ママや初春さんとカミングアウト寸前だったんだ……」 ミ妹「……そのようですね、とミサカも正直冷や汗を拭います」 布束「Well でも、いずれ話す時が来るわよ」 美琴「そりゃもちろんそうだけど、学園都市が公表していないことを教えるわけにはいかないわよ。私たちはともかく、ママや初春さんたちを危険に晒す真似なんてできないから、まだ無理」 ミ妹「時期早々なのはミサカも認めますが、それでもやっぱり早くミサカ達も公になりたいです、とミサカは近い将来であることを切望します」 上条「まあ……いきなり、こちらが私の妹です、って一〇〇〇〇人も紹介されたらさすがの美鈴さんでも卒倒するわな……」 美琴「だ、だ、だ、だ誰がアンタの義妹だぁぁぁあああああああああ!!///」 上条「……何でそんな話になるんだ? あと何か字面が違いませんこと?」 ミ妹「それが分かる貴方の鋭さは、前の一節のところで発揮させるべきでは? とミサカは至極冷静に分析して指摘します」 布束「false 声色が少し低かったわ」 ??「義妹と聞いてやって来たぜい!」 上条「帰れ、金髪ツンツン頭」 「わたくし…ケンカどころか怒った経験もないもので……」 「それで先程のようなことを… でしたらわたくしも同じ…」 「そーだ!! 泡浮さん わたくしにちょっと怒ってみてもらえませんか?」 「えぇえっ!? え…えと こ こ こらぁ――」 上条「おおう! まさに天然系お嬢様だ…思い描いたようなお嬢様だ! 普段、御坂や白井ばっか見てるから忘れそうになるけど、こういうのがお嬢様って言うんだよな!」 美琴「あ~ら、わたくしにも常盤台生らしい振る舞いくらいできますことよオホホホホホホ!」 上条「とりあえず、ビリビリしながら言っても説得力ないよね」 布束「undoubtedly、あなたは少々落ち着きがないように見られるわね」 ミ妹「つまりお姉さまはガサツだという事ですね、とミサカはそんなお姉様と同じDNAである事に絶望します」 美琴「よっしゃ、アンタら二人ともケンカ売ってる訳ね!? 買ってあげるから表に出ろやコノヤロー!」 上条(まぁ……このお嬢様らしくない自然体な性格も、御坂の魅力って事なのかねぇ……俺からすると御坂の方が接しやすいんだが……) 布束「That said 私からすれば御坂美琴のようなお嬢様らしくない性格の方がかしこまらずに済むので接しやすいわ」 上条「あ、そうそう。俺もなんだよ。だから御坂と一緒だとなんだか居心地良いんだよ」 美琴「――へっ!?」 ミ妹「――!!!?」 布束「あまり深い意味に取らない方がいいわよ二人とも。二人の精神衛生上的に」 上条「?」 「結局また観戦に来てしまいました」 「べっ…別に競技に参加できないのがさびしいわけじゃないんだからねっ! とミサカはツンデレ風に弁明します」 布束「strange 学習装置にツンデレ風なんてプログラムがあったかしら?」 ミ妹「いいえ、学習装置ではありません、とミサカは布束さんの記憶を肯定します」 布束「なら原因は?」 ミ妹「それはミサカもお姉様の妹と言うことでしょう、とミサカは本質をズバッと付きます。ですがミサカはお姉様と違って意中の男性には素直になれますが、とミサカはチラリと横目でここにいる殿方を見つめます」 上条「俺? ああそうか。例えってやつだな。そうだな。これから先、御坂妹にも彼氏ができるといいな――って、あれどうした?」 美琴「……お互い頑張ろうね……」 ミ妹「はい、とミサカはお姉様の優しさに目頭を熱くします……」 布束「angry 妹達の心を傷つける輩は許せない……」 上条「ちょっ! 俺なんか悪いこと言った!? 御坂妹を励ましただけでしょぉぉぉぉおおおおおおおおおっ!!」 布束「サマソー!(↓タメ↑+K)」 美琴「ま、当然の報いね」 ミ妹「サマーソルトキックなんて大技も繰り出せるのですね、とミサカは布束さんの足技のバリエーションに少々驚きを隠せません」 布束「あらそう? thenスピニングバードキック(↓タメ↑+K)もお見せしようかしら」 美琴「…あれ、人間技じゃないでしょ」 上条「それ以前に、やられるのは上条さんなんだからやめて!」 『あっ逃げた!!』 『次の競技あるんでっ』 あの三人から逃げる口実にはなったけど… 上条「御坂にとって、例の『気になる人』の事を言うのはそんなに嫌な事なのか?」 美琴「すっ、すす、少なくともアアアアンタの前で言う義理はないでしょっ!!? って言うか、そもそもそんな相手は本当はいないんだしっ!!!///」 上条「あっ何だ、そうなのか?(ん? 何でホッとしたんだ俺は?)」 布束「I sayこれは、これで誤魔化しきれていると思っている彼女の方がアホなのかしら? それとも、これでもなお気付かない彼の方がアホなのかしら?」 ミ妹「両方です、とミサカはハッキリと言い切ります。もっとも、ミサカにとってはその方が好都合なのですが」 「サイズきつくないですか?」 「運動には支障ありません。むしろ胸部には余裕があります」 美琴「いいの! 私は大器晩成型なんだから!!」 ミ妹「ミサカはまだ生まれて一年経ってませんから、とミサカは多少苦しい言い訳をします」 布束「こうして見ると本当に姉妹のようね。良いことだわ」 上条「女性は胸だけじゃないと思うぞ。それに『貧乳はステータスだ』って有名な格言もあるし」 御坂姉妹「「コロス!!」、とミサカは初めてあなたに殺意を抱きます」 上条「何で!? 俺フォローしたんだけど!?」 布束「それ、フォローじゃなくてトドメよ」 上条「え、えっとじゃあ…… ホラ! 歌でもあっただろ!? ペチャパイはマラソン速いとかTシャツ伸びないとか匍匐前進速いとか、あとは痩せて見えるとか痴漢にあいにくいとか年取っても垂れ…な………あれ~? 何で更に怒ってらっしゃるの~?」 布束「by any chance あなたは馬鹿なの?」 『バルーンハンター』 この競技は、各校から三〇名により、互いの頭に付けた紙風船を指定の球を使って割り合うゲームです。頭の風船が割れた選手はその時点でゲームから除外され、競技時間終了後に生存者の多いチームの勝利となります。競技範囲は広く、スタート地点のグラウンドから表へ出ることも可能です。ただし一般に開放されている道路や屋内へは侵入は禁止です。違反者は即失格となります。 美琴「この競技、本当は私が出るはずだったんけど手違いでアンタが出たやつね」 ミ妹「はい。いよいよここからがミサカのターンです、とミサカは上条さんと布束さんに宣言します」 布束「Well 楽しみだわ」 上条「それにしても相手は三○人なのに、常盤台は一〇人いないのな」 美琴「前の玉入れもそんな感じだったでしょ。五本指の一角ってことでハンデ戦が多いのよ」 布束「少数精鋭ということね。常盤台中学は生徒数200名弱だけれど、butその代わりに全生徒がレベル3以上なのだし」 上条「あー……そういや、俺たちの学校と直接対決になった時も常盤台の人数は少なかったな……つーか、あん時も思ったけど、レベル5のお前がいるだけで反則じゃね?」 美琴「ふふん。私たちがボロ勝ちしたときのやつね♪ 楽勝過ぎて欠伸しか出なかったわ」 上条「くっそぉ! 何かめちゃめちゃ悔しい!」 布束「…なんだか話がズレてきたわね」 ミ妹「構いません、とミサカは特に問題視しないことを告げます。なぜならこの先、お姉様に見せ場はなく、上条さんの目がお姉様ではなくミサカに向くことは確実なので、これくらい許容範囲です、とミサカは存分に余裕を見せつけます」 パァン! ばッ! 「…は?」 「とにかく地の果てまで走り続けろ!!」 「全員生き残れば引き分けだからな!」 「な…なんて消極的な…」 ミ妹「相手の作戦としては適切です、とミサカは彼らを称賛します」 布束「exactly 能力レベル3以上しかいない常盤台が相手では、一般の学校は引き分けに持ち込む以外ないものね」 上条「……」 美琴「ぷぷぷ。アンタたちは私たちに真正面から突撃してきたわね」 ミ妹「それはそれで讃えられる行動ですよ、とミサカは上条さんも称賛します」 上条「……ありがとうな……全然嬉しくないけど……」 布束「勇気と無謀は違うものよ」 「追いますわよ!」「待ちなさい!」 「単身で追撃は危険です。スリーマンセルで行動すべき、とミサカは提案……」 美琴「あー……」 布束「bad 妹達の進言に耳を貸す者がいないのもどうかと思うわ」 上条「まあ御坂――と言うと、今さらだけど、今回も御坂妹と被ってややこしいな――なあ? 引き続き『美琴』でいいか?」 美琴「はへ!? まままままままいいけどさぁぁぁぁあああああああ!!/// でででで何? 何なの? 何かしら?」 上条「? 何キョドってんのお前? まあいいけど。んで話の続きだが、美琴もあんまり作戦なんて考えずに突撃してくるよな? ひょっとして常盤台の校風だったんか?」 美琴「(……なーんか一気に頭が冷めたわね……)ははは。これじゃ否定できないわね。ちょっと能力値に驕ってる人は多いのかも」 ミ妹「俗に言う『自分より強い者と戦ったことが無い井の中の蛙』ですね、とミサカは少し常盤台の制服を着ていることに忸怩たる思いを抱きます」 美琴「……うん……否定しないわ……」 布束「こういったところが長点上機学園に勝てなかった理由なんじゃない?」 「ひぃ~~~ん 嘘っ 嘘ぉ 何でレベル5とバッタリ遭遇しちゃうのぉ~?」 ミ妹「外見がお姉様そっくりですから相手にはミサカがレベル5に見えるのですね、とミサカは少し複雑な心境を吐露します」 美琴「と言っても、能力値の差が絶対的な戦力の差とは言えないから、私の方がレベルは高くても、アンタとサシだとガチでやり合ったら正直勝てるかどうか自信ないんだけどね」 上条「は? 何で?」 布束「modesty 私もあなたが妹達に負けると思わないわ」 美琴「クス。そうかしら?」 ミ妹「その理由はこの先で明らかにされます、とミサカはここに宣言します」 「この路地裏は以前実験が行われた場所ですので 道筋はもちろん身を隠せる場所も狙撃ポイントも把握済みです」 ミ妹「、とミサカは得意げに……? 皆さん、そんな暗い顔してどうかしたのですか」 上条「いや、その…」 美琴「実験…って言うと、ね…」 布束「………」 ミ妹「いやいやいや。被害者真っ只中だったミサカ自身が吹っ切れてるのに何で第三者達が未だに気にしてんだよ、とミサカは久々のシリアスブレイクをしてみます」 「くそっ、やっぱ無理か!」 「あ」 「そこに乗るのは危険ですよ」 「おわぁ」 「言わんこっちゃない、とミサカは嘆息します」 美琴「ああ……まだちょっと思うところがあるけど、アンタが気にしないってんならせっかくのアンタの活躍なんだし、トークしないとね」 ミ妹「はい、どんどんミサカのことを持ち上げてください、とミサカはお姉様におねだりします」 布束「心なしか、目がキラキラしてるわね」 上条「あなたにもそれが分かるのか?」 布束「まあね」 上条「へー御坂妹の感情の起伏を読み取れるのって俺と美琴くらいかと思ってたんだけど――」 ミ妹(☆。☆) キラーン!! 美琴(ぎくっ!) 上条「やっぱそんだけ御坂妹の表情が豊かになってきてるってことだよな。うんうん――って、どうした?」 ミ妹「……いえ何でも、とミサカはこれはお姉様の役どころだろと不満いっぱいに呟きます」 美琴「何でもないわよ何でも」(*⌒▽⌒*)にこにこ 布束「二人とも苦労するわね」 「しかし誰も私と見分けがつかないとは 助かったような寂しいような…」 上条「あ、さっきの御坂妹と同じような事言ってる」 布束「giggling、やっぱり姉妹なのね」 ミ妹「まことに遺憾です、とミサカは頬を膨らませて抗議します」 美琴「何でよ!」 上条「でもまぁ、俺も最初は見分けつかなかったもんな。最近は分かるようになったけど」 ミ妹「ああ。貴方から貰ったこのネックレスのおかげですね、とミサカはお姉様に見せ付けるようにわざとらしく件のネックレスを取り出します」 美琴「ぐっ…ぬ!」 上条「お。まだそれ持ってるんだ。安物なのに大事にしてもらって悪いな」 ミ妹「いえいえ。上条さんのプレゼントでしたら例えメッキだとしてもミサカにとっては純金以上です、とミサカはさりげなく上条さんを持ちあげることで自己アピールに努めます」 布束「プレゼント? 買ってあげたの?」 上条「ああ。ちょうどその日、美琴と携帯の男女限定のペア契約してな。ちょっと美琴が手続きして俺が席を外して待ってる時にたまたま御坂妹と会ったんだけど、当時はまだ見分けつかなくてさ。んで、見分けをつけるために、って意味だったんだけど買ってやったんだ」 ミ妹「……だ、んじょ限定のペア……契約!! とミサカは愕然とします」 上条「まあネックレスのこともあるんだけどさ。でも、最近気付いたんだけど、な~んか美琴の方がいい匂いがする気がするんだよ。いや、匂い自体はそんなに変わらない筈なのに、美琴の方だけ妙にドキドキすると言う…か? あれ、どしたん?」 美琴「!!!!? な、ななな、なに、なに変な事言ってんのよ変態っ!!!!!///」 ミ妹「なん…だと…? とミサカはWパンチに…石化しま…す…」 布束(この場合、私はどちらの応援をするべきなのかしら) 「でも、ま、起きちゃったもんは仕方ないし」 「私の代理で出るんだから思いっきり暴れなさいよね」 布束「Oh ここは本当に姉っぽい発言よ」 上条「なんだかんだいっても美琴は面倒見がいい姉御肌だもんな。お姉さん役というかこういう妹分を気遣うのは嵌っているというか――って、あれ?」 ミ妹「」 美琴「///」 布束「……Oh まだ固まっているようね」 上条「同じ『Oh』でも意味が違うってのがよく分かるな」 「どうやら……ここまで…のようですわね エカテリーナちゃん ネズミは一日一匹まで…… 『そーいうのいいんでさっさとリアイアゾーンに移動してください』 「あらそうですの?」 上条「…ノリいいな。美琴と二人三脚してたこの子」 ミ妹「」 美琴「///」 上条「…で、この二人はいつまで固まっているのでせう?」 布束「yet しばらくはかかりそうね。rather than これはあなたの責任なのだけれど」 「能力が使えなければ僕らと条件は同じ それなら……っ」 「もら――った……アレ?」 「触れるだけで命を失う相手と一万回以上の戦闘を繰り返してきました――ミサカを捉えるのは容易ではありませんよ、とミサカは忠告します」 上条「んな……!」 布束「…………!」 美琴「ふふっ」 ミ妹「どやあ、とミサカはふんぞり返ります」 上条(あっ、二人とも戻ってきた) 『おおおおお―――――っ!!? これはスゴいッ! 御坂選手 群がる無数の手を躱す躱す躱すーッ!!』 上条「ちょ、ちょっとぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお! 何これ凄過ぎるんですけどぉぉぉおおおおおおおおおお!? 一体何人に囲まれてんだぁぁぁあああああああああああああ!?」 布束「surprise……確かに一方通行と比べるならこの程度の相手、何百人来ても手こずることはないけど、能力を使わずにこの動き……私にも予想外よ……!」 美琴「あ~あ。いくら私でも電撃が当たらない相手じゃ自信ないわ」 ミ妹(ふっふっふっふっふ。このミサカの雄姿に上条さんが見惚れています、とミサカは心の中でほくそ笑みます) 「とりあえず勝負より衣服の汚れを優先するのはいただけませんね」 「そうですねえ」 「寮のトイレ掃除を当番制にしましょうか」 「それはいい考えですねえ」 美琴「うっ…! 私は服は汚れるのは何ともないけど、トイレ掃除は流石になぁ……」 上条「え? お嬢様達はトイレなんかに行かないだろ?」 美琴「昔のアイドルかっ! 人間なんだから、物も食べるし排泄もするわよ!」 上条「冗談冗談」 ミ妹「ちなみにミサカは点滴や錠剤が主な栄養摂取方法でした、とミサカは口を挟みます」 布束「……あとから何か奢ってあげるわ」 「警戒を怠り、相手チームの思惑に嵌ってしまいました、とミサカは自らのミスを反省します。お姉様の代理を果たせず…」 「楽しかった?」 「?」 「競技に参加して楽しかった?」 「は…はい」 布束「if it s the case 落ち込むところじゃないわね」 美琴「私もそう言ったんだけど、布束さんもやっぱそう思う?」 布束「Yes 楽しかったのであれば謝る必要はないわ。と言うより、御礼を言うべきかもね。偶然だったけど、御坂美琴に参加させてもらったことに」 ミ妹「……なんだか暖かい気持ちに包まれているようです、とミサカは布束さんの手前、素直に喜びます」 上条「よかったな御坂妹」 「それにむしろ最後は私が出たより粘ったと思うわ さすがね」 ミ妹「むぅ…不覚にもこの時ミサカはお姉様の事をちゃんとした姉っぽく感じてしまいました、とミサカは懺悔します」 美琴「『不覚』とか『懺悔』とか、ちょいちょい馬鹿にしたフレーズが混じってんだけど?」 ミ妹「まぁミサカはお姉様仕込みのツンデレを標準装備してますからてへぺろ、とミサカは誤魔化してみます」 布束「if anything、あなたはツンデレと言うよりもクーデレではないかしら?」 上条「仲いいなぁお前らホント」 「もうすぐ昼休みね。アンタ昼食とってる?」 「いえ」 「これ生徒に配られる屋台の食券ね。よけりゃ使って。せっかくのお祭りなんだしお互い楽しみましょ」 「綿菓子、りんご飴、焼きそばは玉ねぎが入っているかもしれないのでダメですね、はっ、イカ焼きなら――」 上条「……」 美琴「……」 布束「What どうしたの?」 上条「いや……こういう話のときはたいてい、だな……」 ??「短髪! 私にも食券分けてほしいかも!! 分けて分けて!!」 美琴「ああ、やっぱり……」 ミ妹「インなんとかさんが突然出現しました、とミサカは今回のゲストではないので名前を伏せて紹介します」 上条「っと、今回はここまでか?」 美琴「うん……あの子は布束さんが何か奢ってあげるって言ってから一緒に退出したわよ。あと、インなんとかさんも一緒に」 上条「なるほど……だから『ここまで』だったんだな……つか、あいつ、まだ何か食う気なのか? まあそれはそれとして、今回はゲストが落ち着いてる二人だったから、意外といつもよりはゆったりできたな」 美琴「そう、ね。ただその…途中気になる事がちょろっとあったんだけど……」 上条「気になる事?」 美琴「だ、だからその…アアア、アンタが…えと…わ、私の匂いがどうとかって―――///」 上条「え? あーそれはその何と言うか……」 美琴(どきどき///) ??「はぁい、そこまでだゾ☆ 御坂さんには、そんなラブコメった展開力はまだ早いんだからぁ。なんてったってお子様だしぃ」 美琴「って、ゲッ!? 食蜂!? 何でアンタがここにいるわけ!?」 食蜂「何でって言われてもぉ、私が次のゲストだしぃ。という訳で、よろしくねぇ上条さん♡」 上条「あ、ああ。ヨロシク」 美琴「よろしくじゃないわよ! 何、語尾にハートマークなんかつけてんの!? 絶対反対だからね! そしてアンタもアンタで、鼻の下伸ばしてんじゃないわよ!!!」 上条「の、伸ばしてないやい!」 食蜂「やだこっわ~い! ちょっと凶暴力がありすぎなんじゃなぁい? 仕方ないでしょぉ。次の話は私の関与力が高いんだから。それに来月発売の新約11巻は、私と上条さんの過去話がメインだから、宣伝力にもなるしねぇ」 美琴「ぐう! 隙が無ぇ!」 食蜂「だからぁ、次回は私と上条さんがイチャイチャして、御坂さんは蚊帳の外なんだゾ☆」 美琴「スレ違いじゃないのよそれっ!」 ??「そうですわよ! わたくしの目の黒いうちは、そんな事させませんわ! とぉう!」 食蜂「飛んだっ!?」 婚后「婚后光子、ただいま参上いたしましたの!」 上条「あ、美琴と組んでたノリのいい面白い子だ」 婚后「わたくしをお笑い芸人さんのように仰らないでください! これでも次回のゲストですのよ!」 美琴「婚后さんも?」 婚后「ええ。舞台裏で佐天さんと打ち合わせをして、食蜂さんが上条さんと接近したならば仲違いをさせ、そして御坂さんと上条さんが接近したならば応援をする、という作戦になりましたわ!」 美琴「うわ~…嫌な予感……」 婚后「ご安心くださいな。わたくしが来たからには、必ずや御坂さんと上条さんをこ、ここ、こ……恋仲! に! してさしあげますわ! 御坂さんがホの字でご執心なさっている上条さんとっ!!!」 美琴「のあああああああああああいっ!!!!! 声が大きいってばあああああ!!!///」 食蜂「あぁ、大丈夫よぉ。上条さんには、(私に)都合力が悪い事は聞き流すように洗脳してるからぁ」 上条「え? なんだって?」 美琴「難聴スキル発動してる!?」 婚后「くっ! やはり邪智暴虐ですわね食蜂操祈! よろしいですの!? わたくしが来たからには好きなようには―――」 食蜂「あらぁ…残念ねぇ……私、婚后さんとは友達に…ううん。それ以上に『親友力』が築けると思ってたのになぁ…」 婚后「えっ…? し……親、友? し、ししし仕方ありませんわね! わたくしは心が広いですから、今回だけは特別ですわよ!!? 親友…親友、えへへ…えへへへへへへぇ…」 美琴「ちょろい!」 食蜂「(うふふっ…用が済んだらあなたなんてポイなんだけどねぇ…)」 上条「…何だこのシンタローとアラシヤマみたいなやりとりは……」 美琴「ああぁ…やっぱり嫌な予感しかしない!」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/こぼれ話
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1252.html
_ _____________ _____________ _____________ シークレットメッセージ 遊園地デート X-DATE 帰省編 とある学園の執事喫茶 一端覧祭 とある両家の元旦物語 バイト生活 とある子猫な超電磁砲 どこにでもあるハッピーエンド 幸せへと至る道 side by side Daily Life とある未来の・・・ とある宣伝の超電磁砲 11月22日は何の日? こいぬのおくりもの 鶴の恩返し My... とある記憶の消失問題 とある男の本気告白 一本の白き道 ――ふたり―― 上琴の戦い 起きないあいつ 恋する美琴の恋愛事情 未来からの来訪者 わたしのヒーロー とある少年の帰還記念祭 とある10人のハロウィンパーティ 幸福へのプロローグ Love is blind とある少年の告白成就 神(上)の見えざる(右)手 月と彼方と私とサクラ 消えゆくあいつの背中を追って 上琴の奇妙な体験 とある二人の旅行物語 秋終わり、恋は終わり始まる とある不幸なHappy days とある底辺と頂点の禁断恋愛 全力で貴方たちを倒す! if√ とある乙女の小さな願い とあるファミレスのバカップル 被害者 とあるベランダの超電磁砲 御坂美琴の消失 美琴「素直になる…かー」 くっつく さよなら常盤台 編集
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3236.html
美琴 1 蝉がミンミンとなり始める季節。もはや梅雨の蒸し暑さは消えて無くなったが、代わりに暑い日差しが照りつけるようになった。すでに夏休みに入っているが、開発の単位が足らない上条当麻は早々から補修を受けていた。補修を終えた頃には太陽も沈みかけているが相変わらず蒸し暑く、彼の背中を汗で湿らせる。だがそれ以上に気になっている事が1つある。(最近、会わねーな)それは、彼がビリビリ中学生こと、御坂美琴である。初めて彼女と会って一カ月が過ぎようとしている。以前は週に3、4回は遭遇するほどのエンカウント率の高さで勝負を挑まれていたが、一週間以上、姿を現していないのだ。当然上条としても、彼女には普通の女子中学生らしく青春を謳歌してもらいたいところだが、彼女の性格を考えても、白黒はっきりつけないまま終わりというわけにもいかないだろう。ならば、何故会わないのだろうか?下校時刻が合わないのか。用事が出来たのか。それともまさか、病気にでもなったのではないか。うーん、と考える上条だが、結局それは聞いてみないとわからないのだ。こうなると、気になってしまうのが上条当麻である。答えが見つかるはずがないのに、ずっと考えている。「……あ」いた。栗色の短い髪。常盤台の制服。間違えはない。美琴だ。「おービリビリか。探してたんだぞ」こういうとき、上条はまず行動に出る。美琴へ駆けより声をかける。「ビリビリ言う…な……って、私を、探してた?」「ここ最近、勝負を挑まれてなかったからな、どうしたんだろうってな」上条がそう聞くと、先ほどまで怒り気味に見られた美琴の表情は曇り、目を反らした。良く見れば、目元には隈が出来ており、頬も少しやつれていた。たとえ門限を破っても、健康的だった彼女がどうしてこうなったのだろうか。「最近、そういう気分じゃないのよ。んじゃ、またね」そう言って、彼女は背を向けた。足もふらつき、今にも転びそうだ。「あ……、おい」とうとう見ていられず、上条は美琴を呼び止めた。だけど美琴には聞こえていないように、彼女はふらふらと歩き続ける。「おい、ビリビリ!」ついにはしびれを切らして美琴の肩に手を置いた。すると彼女の体は急に倒れ込み、上条は慌てて彼女を抱きかかえた。 カエル顔の医者の話では、ただの過労という事だ。今彼女は、病院のベッドで安らかに眠っている。勝負勝負と突っかかって来る時はあまり気にしていなかったが、こうしていると美琴も可愛いのだ。だが、一晩中追いかけっこをするような彼女が倒れるほとは。(それにあの隈……何日も徹夜したみたいな)「ん……わたし…?」美琴が目を覚ました。彼女は辺りを見回すと、ここが病院だと気付いてか、ベッドから起き上った。だけども力が入らないのか、またもや倒れそうになり上条が支える。「起きたばっかりで無理するな。今は寝てろ」「でも…!」「何を焦ってるんだ。悩んでる事があったら俺に言え」「……っ、わかったわよ」観念したのか、美琴はベッドに腰を付けた。それでも焦っていた理由だけは頑なに言おうとはしなかった。とりあえず上条はメモ用紙に自分の携帯番号を書いて、ベッド横の机に置いた。「夕飯の買い物もあるし、俺は帰るよ。でももし相談する気になれば言ってくれ」「……待って」「ん?」「あの、今日は……ありがとう」彼女にお礼を言われるのは初めてであった。何だか気恥ずかしく、上条は急いで病室を後にした。その夜の事だ。美琴が病院から抜け出したと、カエル顔の医者から電話が来たのは。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/106.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/帰省編 「ぶはぁ~、激動の3日間だった!」 帰りの電車もボックスシート仕様で、まだ昼間のせいか、 荷物も人間も隣同士に座ることができた。 「行く前はこんな展開考えもしなかったわねえ……」 顔を見合わせて苦笑する。 ファミレスでの滞在時間は短かったが、 御坂旅掛が当麻の父、上条刀夜とどう知り合ったかといった話で盛り上げ、 「ん?美琴のどこが一番気に入ってるんだ?ん?」と上条当麻の弱い点をつつきまくり、 ファミレスを出た途端に2人の首を両腕でホールドし、無理やりキスさせようとする始末で、 父親なりの娘とスキンシップをとろうとしていたようだった。 美琴も色々ムクれながらも最後には抱き合って別れを惜しんでいた。 (しかしまさかここでシスターズか……) 御坂妹たちは重篤状態はクリアし、現在は元気に動き回っている。 ということはもうメンテナンスは最小限でいいはずだ。 魔術との戦いがようやく落ち着きだしたのに、 今度は学園都市内部と何かあるかもしれない。 (やれやれだな。一度御坂妹と話してみっかな) 考え事からふと我に返ると、視線を感じ横を見ると、 美琴がじっと見つめている。 「ん、なんでもない」 目を逸らしたが、何だか寂しそうに見える。 「あー、そうだ言い忘れてた。筑前煮美味かったぞ。全部食っちまったぜ」 「えっホント。えへへ~、次作る機会あるかなあ~」 ぱっと表情が明るくなり、喜んでいる。 ……きた、デジャヴ!なんだ、この数日間の既視感、違和感は!? … … そうか。 『頭も良く顔も良く料理もでき、凄まじい潜在能力を秘めたスーパーお嬢様。 あれで、短気でわがままで自分勝手ですぐビリビリするのを直せば』 短気でもなく、素直でわがままいわず、自分勝手どころか気を使いまくり、 ……3日間電撃一度も使ってないんじゃないかコイツ!? さっきのだって、「フン、煽てたってムダよ」とか変な返しをせずに、素直に喜んでる! これか、なんか調子狂ってたのは! 「あの、美琴さん?」 「あによ、改まって」 「今……例えば電撃出せないように封じられてる、とか、ないよね?」 「ん?別に」 親指と人差指の間にビチッと軽く電気を走らせる。 「ね?あ、でもなんか久々に使って新鮮な気分だわ」 美琴は連続して、ビビッビビッと試し撃ちしている。 (この状態は気持ち悪い!芽は潰しておこう!) 「あの、怒らないで聞いてくれます?」 「だから何よー。さっきから変」 「この3日間、全然電気使わなかったり、えーと、ええい言ってしまえ」 上条は一息に口に出す。 「短気でわがままで自分勝手ですぐビリビリしてた美琴さんはどこに行ってしまったのでせうか?」 (3日分、来るか?)上条は目を瞑る。 「ん~~~~」 反撃がこない。なにやら唸っている。 「ま、否定できませんけどね。でもね当麻」 「は、はい」 「それらの行為はね」 少し間があく。 「えっと、『アンタ』にしか見せない姿なのよ」 「はい?」 「その行為は他の人には出してないの。黒子にさえ」 「あー……」 「そりゃ黒子の変態的行為には怒ったりするわよ。でもそれは短気とは違うでしょ」 「まーな」 「だから、まあ、その」 「振り向いてくれない人へのアピールというか、何と言うか」 真っ赤になりながらも、言葉を紡ぐ。 「『アンタ』から『当麻』に呼び方が変わって」 「最初から振り向いてくれてるなら、短気でわがままで~なんてやる必要ないの。電撃もいらない」 流石の鈍感大王も、これは事実上の告白だと気づく。 というより、今更である。 「この3日間ね。ホントに楽しくて、幸せで」 「これがあと1時間で、いやもう今にも終わるかも、なんだなあって」 「でもまあ、たまにあるからいいんであって」 「ずっと続くと、ダメになっちゃうのかしらねえ」 夢見心地のように呟いている。 突然、ガバッと体勢を変え、上条をにらみつける。 「え?」 「電車つくまではこのままでいさせて!着いたら学園都市美琴ちゃんに変身するから!」 「あ、ああ……」 美琴は上条の左腕をガシッと取り、しがみつくような体勢に変わった。 ……心なしか震えているような気がする。 「は~、なっさけねえなあ。傷つくのを恐れてるのは、俺のほうか」 上条はつぶやく。 「美琴、そのまま掴まっててくれ。きっちり話す」 「傷つくかもしれんが、生殺しよりは、な」 美琴は頷く。 「大きく3つの理由があり、1つは美琴が中学生だからだ」 「俺が幼稚園児・小学生に手を出したら、おかしいよな?変態だよ」 「じゃあ中学生は?これが俺の中ではアウトなんだ。セーフの奴もいるだろうが」 「だから単純に、恋愛対象として見れねえんだ」 「言い訳に過ぎないけど、お前の思いに気づかなかったのは、このフィルターのせいもあったと思う」 「でもな」 「ま、これはお互いさえ納得し、……なんなら2年待てばいいじゃんという程度には軟化してる」 「だからまあこっちの理由は、『今までの理由』とみなしてくれていい」 「問題はつぎの理由」 上条は唾を飲み込む。 「俺は……インデックスと一緒に住んでいる」 美琴が硬化した。 一気に話すしか無い。美琴の顔を正視できなかった。 「ちょうどお前なら話せるが、俺は知っての通り、記憶喪失だ」 「俺の記憶は7月28日からしかない。目覚めたとき、医者……ああ、美琴もおなじみの先生だ」 「その先生が去ったあと、次に現れたのが、インデックスだ」 「インデックスは『とうまは、わたしを助けてくれたんだよ』と言っていた」 「つまり、俺はインデックスを助け、何があったか分からないが記憶を失った」 「先生曰く、脳細胞が破壊されているらしい。復旧するにも焼き切れたような状態、だと」 美琴が腕を強く握りなおしているのが感じ取れた。 上条は右手でペットボトルから水を補給した。 「インデックスを助けるために、一緒に手伝った奴が、先生に倒れた経緯や背景を教えていたので」 「俺はその知識だけ頭に入れ、初期設定とし、学生寮に戻った」 「記憶が無いんだから、何がどこにあるかがわからず悪戦苦闘してるところにインデックスが来たが」 「うまく話をあわせながら、記憶喪失がばれないようにしていたがどう見てもインデックスは帰ろうとしない」 「というか、泊まって当然の気配が濃厚で、ひょっとして同棲してたのか?と俺は思い始めた」 「ところが、ベッドはあたし使うけどとうまはどこで寝るの?というおかしな状況になってだな」 「過程はともかく、現在、俺は毎日バスルームで鍵をかけて眠り、インデックスはベッドで普通に寝てる」 「つまり家の主人である俺がバスルーム・居候のインデックスがベッドという、同棲というよりただの同居」 「これを半年続けている。もし……記憶喪失前の俺とインデックスがそれなりの関係だったら」 「もうちょっとインデックスはアプローチしてくると思うが、今のところ皆無。つまり何も無かったんでないかと」 「さて、関係の話は一旦横におき、問題は俺の記憶喪失をインデックスだけには知られちゃいけないってことだ」 「もし自分のせいで記憶を失ったと知ったら?アイツは一生自分を許さず、俺に尽くそうとするだろう」 「それは絶対にだめだ。俺がなぜ記憶を失ったかわからないが、そんな代償のために助けたんじゃ意味がない」 「そして、どうやらインデックスを助けるために俺の右手が破壊したもの、それはインデックスを保護すると同時に」 「悪意のプログラムが仕込まれたモノだったらしく、悪意は消えたが保護も消えた」 「そのため、俺はイギリス清教から保護者を命じられ、壊した保護の代わりを務めている」 「だからインデックスが海外に呼ばれると、俺も付いていかざるをえない。これが俺の海外行きの理由だ」 「ふう」 「一気に説明したがついてきてるか?」 「次」 「へ?」 「3つめの理由は?」 「これは相当可能性低いけど、記憶喪失前にもし恋人がいt」 「却下。いないでしょそんなの」 美琴がむくりと体を起こした。 「あーもう何て言うか」 「あの、美琴さん?」 「ンな事ならもっと前から教えてよド馬鹿!」 電車の中だというのに上条は思いっきり怒鳴られる。 「ほんとやきもきしてた、この数カ月を返せって感じよねホント……」 「……ううう」 「うん、あのシスターのことはモヤモヤしてたけど、分かった。同居は気にくわないけど」 そういって、美琴は居住まいを正し、両手を膝の上におき、礼をした。 「これにて恋人ごっこ終了!」 「え?」 ……寂しい気がするのは、俺はやはりあの状態を気に入ってたということか。 「で、、、」 美琴が上条の胸に飛び込んできた! 「ちょちょちょ、美琴さん、ななな?」 「じゃああと1年ちょい、名前で呼び合う友達モードでいかが?腕組みも有り」 顔は見えないが首筋は真っ赤だ。 「御坂美琴の正式なお願いです。断るなら突き放して。OKなら抱きしめて」 「ちょーっと待ってー」 「待たないわよ。あたしが高校生になるまで限定。さあどうするの?と・う・ま?」 この3日間で事実上骨抜きにされ、まずは友達からと敷居を下げられ…… 上条当麻はしっかりと御坂美琴を抱きしめた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ もうすぐ到着と、アナウンスが告げる。 「ああ、インデックスに齧られるのが気が重い」 「あたしも黒子がしばらくしつこいだろうなあ……」 といいつつ、表情は柔らかい。 「学園都市内ではどうする?」 「当麻ってそんなベタベタ好きじゃないでしょ?中学生と噂立てられたくないでしょうし」 「名前で呼び合ってちゃ誤魔化せん」 「あはは」 他愛もない話をしている間に、電車は到着し、学園都市に改めて踏み入れる。 ウイルスチェックなどを行い、上条は20分ほどで改札を出られたが、 美琴は30分ほどかかり、ゲンナリして出てきた。 「あーもう、いつもこれだけは憂鬱」 といいつつ、上条の左腕に腕を絡める。 「お、おい。もう中だぜ」 「ちょっとだけちょっとだけ♪」 「お ね え さ ま」 「く、黒子?」 美琴が言うと同時に、上条はまわりをみわたす。 2人組の制服の違う女生徒がいたと思った瞬間、片方が消えた。 「そう、何度も」 上条は腕を抜き、右斜め後ろにバックステップする。 そこへドロップキック体勢の黒子が現れたが、上条はすでにいない。 「へ?」 「食らうか~!」 空を切って落ちてきた黒子の胴を腕で捕らえる。 「くっ!なにしますのこの類人猿!」 右腕で捕らえられたため、再テレポートもできず、暴れている。 「んじゃ、美琴、パース。んじゃな!」 黒子を押し付けると上条は走り去る。 いい面の皮にされた黒子が猛り狂う横で、 「当麻~、まったね~」 手を振る御坂美琴は、夕日に映えて美しく輝いていた。 そして、初春飾利は今のわずか1分の出来事を、佐天涙子宛にせっせとメールを打ち込んでいるのであった…… fin. 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/帰省編